12月23日から24日の2日間にかけて、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所主催の第440回 定例研究報告会「2022年のエネルギー展望」が開催された。今回の記事では23日2人目の発表である市原氏の内容について取り上げていく。

 

 

脱炭素化と現状維持に苦しむ立ち回り 市原氏

 石油情報センター所長 市原 秋男氏の発表は「2022年の内外石油情勢の展望と課題 」だ。

 

 この報告では現在脱炭素化の動きの中で揺られ続ける原油価格について焦点を当てている。

 

 2021年の原油市場としては需給バランスがやや低調となるものの、価格自体はほぼ右肩上がりの上昇となっている。

 

 しかし11月に米国手動で備蓄放出を決定した矢先、Covid-19 オミクロン株の感染流行拡大に対する懸念が重なった結果価格が急落。

 

 OPECプラスでは増産を決定してはいるものの、2022年には増産を停止するのではという見方が強まっている。

 

 

図

 

 

 2021年の石油需要はCovid-19のパンデミックこそ終息出来ていない状況ではあるが、第3四半期は9760万b/d(前年同期比550万b/d増)となっている。

 

 このままパンデミックが悪化しないという前提に立って予測する場合、2022年全体では1億60万b/d(前年比430万b/d増)という結果だ。

 

 石油の供給は2021年第3四半期では前年同期比540万b/d増加の9640万b/dとなっている。

 

 これは現在の需要増加に追いついていない状況で、2022年には1億70万b/dとなると予想されている。

 

 しかしOPECプラスの生産量は現在やや微増という傾向となっており、非OPECも合わせた生産量現状2020年第2四半期とほぼ同量レベルで留まっている。

 

 

グラフ

 

 

 現状米国での需給は第三四半期での生産量が1080万b/d、需要が2020万b/dと堅実に両者増加している。

 

 生産量がゆるやかに回復する傾向は続くとされ、2019年を超える水準となると想定されている。

 

 そんな中でOECDは石油在庫の放出を決定。世界的な需要増ではあるものの価格に関して特段の影響は無いものと見られている。

 

 

グラフ

 

 

 一方金融市場に目を向けて見ると、コロナ禍からの経済回復に伴う油価の上昇と米国株価が連動したような動きを見せている。

 

 また油価の大幅な低下は為替相場の乱高下を招いており、パンデミック悪化などにより価格低下が懸念される場合、リスクの高さから資金が離れてしまう可能性も考えられるとの事である。

 

 もちろんパンデミックの悪化が防がれ、OPECプラスは増産を継続したというケースを考えるなら需給はバランス良く推移するであろうという事は考えられる。

 

 しかしパンデミックの悪化による需要減少やOPECプラスが減産傾向となった場合は市場の変動は大きいものと予想されている。

 

 

グラフ

 

 

 日本国内の市場に目を向けてみると、第2四半期の石油(燃料油)の内需は月平均1214万kl(249万b/d)で前年同期比で増加傾向にある。

 

 燃料油販売量については2021年5月にジェット燃料が局所的に増加、その後価格が抑えられ現在はまた右肩上がりの傾向が見られる。

 

 国内の市況ではレギュラーガソリンや軽油、灯油、ドバイ原油(円建て)それぞれが現状右肩上がりで増加を見せている。

 

 しかし現状脱炭素化の動きが拡大しつつある以上、石油業界にとって事業基盤を転換する必要性も生まれつつある。

 

 また災害時や過疎地のサービスステーションなどにも安定した供給が行える体制作りを整えるなど、経営に対し多角的な対応が必要とされるという内容をもって公園が締められた。

 

 

図

 

 

(IRUNIVERSE ICHIMURA)