電力不足と「エネルギー消費の二重管理」(総エネルギー消費と強度の二重管理)政策は、多くの生産制限と閉鎖を招いており、引き続きさまざまな業界を巻き込みながら悪化している。

 

 揚州台商(海外に進出している台湾企業)協会会長であり虹揚-KY(中国語名:虹揚發展科技股份有限公司)会長のFangDingyu(中国語名:方丁玉)氏は17日、月末まで全ての生産ラインでの生産制限を求める口頭での通知を受けたという。

 

 それを受け、会社はシフト方式を採用し、電力利用のピーク時を避けると共に、10月の休暇期間(10月1日~7日)を利用して可能な限り生産能力を補うことを表明した。休暇期間に働く従業員は中国の労働法に従い10月1日から3日まで、3倍の賃金を支払うということだ。中国本土では、10月1日~7日の7日間、国慶節により連休となっている。

 

 

図

虹揚-KY ホームページより

 

 

 Fang Dingyu氏は、今回の目標は電力消費量を50%削減することであり、そのために生産ラインの電力消費の最適化を強化することに加えて、ピーク時を避け、オフィスのエアコンなどの緊急でない機器および公共スペースでの不要な電力使用はできる限り削減すると話した。

 

 中国の新聞社である21世紀経済報道によると、この規則では、江蘇省のさまざまな地域の政府によって採用されている方法は、停電ではなく電力資源管理(電力使用制限)であるということだ。

 

 

表

台湾経済日報 より

 

 

※エネルギー強度とは

 最終エネルギー消費または一次エネルギー総供給を生産額あるいは国内総生産(GDP)で割った値。中国政府は2021年までにエネルギー強度を3%削減する目標を掲げている。

 

 今年に入り中国は「エネルギー消費の二重管理」政策の実施を強化しており、その結果エネルギー消費量の多い産業では、石炭と電気の消費が制限されている。今回の混乱は9月17日より、地方自治体が一部企業の使用電力を直接制限するだけでなく、街灯・消防ポンプ・照明といった基本電力についても最低限のレベルまで制限した。その結果、一部の企業では、操業を停止せざるを得ない状況となっている。

 

 8月、国家発展改革委員会は「2021年前半のさまざまな地域におけるエネルギー消費二重管理目標の完了のバロメーター」を発行し、エネルギー強度が減少せず増加した江須を始めとした9つの州・エリアを公表した。浙江省は、エネルギー消費強度の削減率がスケジュール要件を満たしていないことが指摘された。

 

 江蘇省の状況から判断すると、現在の二重管理の実施期間は9月末まで、一部の地域では10月の休暇期間の後までとなっている。南通企業によると、16日に通知を受け取った時点で残り15日となっており、期間中6日間操業し8日間停止することを決めたという。10月に再開できるかどうかはまだ通知されていない。

 

 一方、南通企業によると、上流製品であるポリ塩化ビニル(PVC)の購入価格が、2010年の約4,500人民元から23日には10,995人民元に高騰しており、これによる企業利益の減少は年間5,000万人民元近く、「エネルギー消費の二重管理」政策による影響をはるかに上回っているという。

 

 某企業担当者によると、今回の規制は突然ではなく、秩序ある段階的な電力制限と停電である。そのため、操業に影響はあるものの制御可能であり、重要なのは電力制限そのものではなく、電力制限をきっかけに発生するその他のリスク、例えば上流原料の不足や高騰などであるということだ。

 

 多くの現地企業では、現在の政策調整は比較的大規模であり、今後も継続されるかどうかは明確になっていないため、市場への供給の確保や生産効率などを考慮した上で、企業への影響について引き続き注意する必要があると考えているという。10月の連休明けには次の段階の政策が出されるのか、今後の中国政府の対応が注目される。

 

 

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i.YUKO

写真 IRuniverse取材記者、フリーライター、フリーランス通訳/翻訳者(日‐中)

 2017年より台湾在住。3児の子育てをしながら、手作り食品の販売等、さまざまな活動を行う。

 趣味は、手芸、石鹸作り、台湾料理研究、旅行。

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