人気児童文学『オズの魔法使い』の舞台としても有名なカンザス。主人公のドロシーが竜巻に巻き込まれて吹き飛ばされてしまった場面を覚えておられる方も多いかと思います。アメリカ合衆国のちょうど中心に位置するカンザス州では、実際に、春や初夏などの季節の変わり目に竜巻が頻繁に発生します。そのため、竜巻発生時にはトルネードアラームと呼ばれる警報が携帯電話からけたたましく鳴り響き、地下などの安全な場所で竜巻が過ぎ去るのを待つのです。そのため、このコラムもカンザスからの風、ではなくカンザスからの暴風、としたほうが良いのかも、と思いました(笑)。

 

 

写真

(写真)2年前には自宅の木が突風で倒れ、電線を切断。復旧まで不便な時間を過ごしました。

 

 

 またオズの魔法使いで「平らで灰色の土地」と表現されたように、カンザスの郊外には平原グレートプレーンズがどこまでも広がっています。この広大で平坦な土地を生かして、カンザスでは農業や牧畜業が盛んです。

 

 

地図

 

 

<米国の基本情報>

 ・正式名称 アメリカ合衆国(United States of America)

 ・首都 ワシントンD.C.

 ・面積 371.8万平方マイル(962.8万平方キロメートル、日本の約25倍)

 ・人口 3億3,006万人(2021年1月 米国国勢調査局)

 ・言語 主として英語(法律上の定めはない)

 ・通貨 USドル 

 

 

 <カンザス州の基本情報>

 ・面積 8.2万平方マイル(21.3万平方キロメートル、日本の約半分)

 ・州都 トピカ

 ・人口 約295万人(2021年)

 ・時差(夏時間) 協定世界時との時差:UTC -5 日本時間との時差:JST-14 

 

 

 このカンザス州に移住して早6年が過ぎました。カンザスは東にミズーリ、西にコロラド、南にオクラホマ、そして北にネブラスカと接していますが、私が住んでいるのはミズーリ州との境に近い位置です。

 

 これから、米国の業界ニュースとともに、現地からみた業界の動きについての生の声をお届けします。カンザスからの突風(笑)、ならぬカンザスからの風どうぞご期待ください。

 

 

<米国の州別発電事情>

 

 

図

 米国の州別発電組成

(ソース:https://www.visualcapitalist.com/road-to-decarbonization-united-states-electricity-mix/

 

 米国の総発電量は2020年に4,009 TWhに達しました。その約60%は、天然ガス(40.3%)、石炭(19.3%)、石油(0.4%)などの化石燃料によるものです。原子力発電は19.7%となっています。再生可能エネルギーによる発電は合わせて約20%となり、主なものは風力(8.4%)、水力(7.3%)、太陽光(2.3%)です。

 

 しかし、この数値は50州の平均。州、地域によって、どの燃料源に依存しているかは大きく異なっています。

 

 たとえば、石炭は、ウェストバージニア州、ケンタッキー州、ワイオミング州など、歴史的に石炭が豊富な地域で最もよく使用されている電力です。一方で、太平洋岸北西部とニューイングランド地域では水力発電が盛んとなっています。また、カンザスを含むグレートプレーンズ一帯は、風力エネルギーの大きな発電地域です。また、カリフォルニアとネバダでは、太陽エネルギーや地熱エネルギーによる発電に重きを置いています。

 

 実は、米国では2035年までに国内電力の無炭素化の達成を目標に掲げています。しかし、この野心的な無炭素目標を達成するためには、国内最大の発電州の協力が不可欠です。それが、2020年に米国の総電力の12%を生産したテキサス。テキサス州では現在、天然ガスと石炭を主な発電資源としており、テキサスが今後どの程度再生可能エネルギへとシフトできるかが鍵となってくるのです。

 

 今後、米国では脱炭素発電への取り組みがますます活発になることが予測されています。実際に、米国を拠点とする主要な公益事業者は、ESGレポートの改善と独自の脱炭素化の公約に対応することに重点を置いており、総電力の組成は今後10年間で急速に変化すると予想されているのです。

 

 今後の米国エネルギー対策から目が離せません。

 

 

写真

 

 

 カンザス州からコロラド州へとつながる一本道には、延々と風力発電のタービンが建設されています。

 

写真ソース:http://energy.ku.edu/100-wind-electricity

 

 

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Y. Yamamoto

 IRuniverse取材記者、フリーライター、フリーランス通訳/翻訳者(日‐英)

 2015年より米国カンザス州在住。夫と娘二人。趣味は家庭菜園、自然観察、旅行。地域の情報誌が愛読書。

 *通訳、翻訳および米国案内等のご要望は、MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話よりお問い合わせください。

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