米国でバイオ燃料にかかわる情報が目立つ。今回は米国におけるバイオ燃料の原料生産・開発・研究、プラント拡張計画などにかかわるニュースを取り上げる。(Photo by Andrea Starr /Pacific Northwest National Laboratory) 

 

 まず、石油メジャーのChevron U.S.A. と米国のリサイクル会社であるBrightmark LLCはこのほど、バイオメタンJV(合弁)プロジェクトBrightmark RNG Holdingsの規模拡大に合意したことを明らかにした。酪農廃棄物からバイオメタンを生産するJVの2025年における生産量を20年比で10倍に引き上げる計画だ。

 

 原料調達面でも動きがある。英bpは、米国の燃料会社CleanBay Renewablesからバイオメタンを15年間購入することに合意した。CleanBayは、畜産廃棄物から嫌気性分解プロセスでメタンを主成分とするバイオガスを生産し、それを再生可能な天然ガス(RNG)として米国で輸送用燃料として販売する予定としている。

 

 他方、米国の石油精製会社Marathon Petroleum Corpと穀物メジャーADMはこのほど、バイオ燃料原料の大豆油を生産する合弁会社(JV)設立に合意した。JVはノースダコタ州Spiritwoodに大豆処理プラントの建設を計画している。プラントの精製大豆油生産能力は6億ポンド/年(27.2万トン/年)で、2023年の稼働を予定している

 

 製油所から再生可能燃料プラントへの転換や、ターミナル拡張計画も伝わる。米国の投資企業Starwood Energy Group Globalと燃料会社Slate Refining, LLC は今夏、ワイオミング州DouglasにあるSlateの製油所を再生可能燃料プラントに転換することに合意した。生産能力は約1億ガロン/年(37.9万KL/年)で、ディーゼル、航空燃料を生産する。

 

 また、米国の燃料貯蔵会社International-Matex Tank Terminals LLC(IMTT)は、ルイジアナ州Geismarの再生可能燃料・原料ターミナルの拡張を計画する。IMTT は、2023年に完成予定のRenewableEnergy Groupのバイオリファイナリー拡張プロジェクトでバイオディーゼル・再生可能ディーゼル・原料貯蔵能力をほぼ倍増させることを目指す。

 

 このほか、米Summit Carbon Solutionsは、アイオワ州からノースダコタ州のCCSサイトまでの液化二酸化炭素(CO2)を輸送するパイプライン(長さ約710マイル、総工費45億ドル )を敷設し、エタノールなどのバイオ燃料製造から排出するCO2を捕集し、地層中に貯留する計画を今後2カ月間で土地所有者と協議する見通しだ。エタノールプラントの炭素強度を下げ、カリフォルニア州などで低炭素燃料として販売する見通しという。

 

 研究開発や政府による助成も目立つ。米Pacific Northwest National Laboratory(PNNL)、Oregon State University、再生可能燃料会社であるLanzaTechはこのほど、エタノールからジェット燃料を生産するプロセス開発に合意した。PNNLはエタノールからn-ブテンを合成するプロセスに用いる触媒を開発済みだ。再生可能原料や工場排ガスからエタノールを生産するプロセスの開発を目指すという。

 

 他方、米農務省(USDA)は、農産物を原料とする再生可能バイオ燃料の利用拡大を目指すプログラム「Higher Blends Infrastructure Incentive Program」でインフラ整備に2,600万ドルを投資する。USDAは、全米23州でバイオ燃料配合比率の高い燃料の供給量を8.22億ガロン/年(311万KL/年)拡大することを計画している。

 

 

在原次郎

Global Commodity Watcher