台湾の現地からの情報をお届けしています「台湾から風」、今回は第二弾として台湾の強みともいわれるITの分野から、

 

 ・公共バスのGPSシステム

 ・ICチップを搭載した国民健康保険証システム

 

についてお伝えします。

 

 

<公共バスのGPSシステム>

 台湾で公共バスを利用するときに必須なのが、パスアプリです。

 

 

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 こちらは台湾で最もポピュラーともいえるバスアプリ「台湾公車通」。このアプリでは、台北/桃園/台中/台南/高雄という台湾主要都市の全てのバス情報を見ることができます。このようなアプリは企業も提供していますが、地方自治体の中にも独自のアプリを提供しているところもあります。

 

 

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桃園市交通局の提供する「桃園公車」

 

 

 バスアプリでは、

 ・路線

 ・路線ごとのバス停

 ・バスの運行状況

を検索することができます。

 

 全てのバスにはGPSが搭載されており、現在バスがどこを走っているかというタイムリーな情報を見ることができます。

 

 アプリによっては、近くのバス停を検索することができ、さらにそのバス停に来る予定のバス、時間まで見ることができるようになっています。

 

 

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 また、バス停側でも同じように「そのバス停には何番バスが来るのか」「バスがあと何分で到着するのか」を見ることができます。

 

 

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 このようなシステムに利用される情報は、全て台湾交通部の「公共運輸整合資訊流通服務平臺」(Public Transport Data eXchange,PTX)によって提供されています。一般企業でも個人でも、PTXの情報を元にアプリを作成し、提供することが可能です。このように政府として情報を提供することで、どんどんより便利なシステムが登場するのでしょう。

 

 

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台湾交通部 公共運輸整合資訊流通服務平臺 ホームページより

 

 

 そもそも、台湾の公共バスには、細かい時刻表というものがありません。

 

 「始発と最終便の時間」「〇時〇分に起点ターミナルを出発」「およそ〇分間隔での運行」という情報のみです。日本のようにしっかりと時刻表が定まっていれば、このようなアプリも必要ないのかもしれません。ただ、時刻表がなくてもこのようなアプリがあるので、とても便利にバスを利用することができます。

 

 

<ICチップを搭載した国民健康保険証システム>

 台湾では、衛生福利部中央健康保險署によって国民健康保険が運用されています。日本のように、「国民保険」「社会保険」という種類はなく、全ての人が国民健康保険に加入します。保険証は写真付きで、ICチップが搭載されています。保険証により医療機関の受診情報、薬の処方情報などが統一して管理されているため、情報がスムーズに共有されています。具体的な日本の病院と異なる点としては、

 ・病院ごとの診察券がない

 ・お薬手帳がない

という点が挙げられます。診察の受付はとてもスムーズで、初回は住所・連絡先などの情報を提供する必要がありますが、2回目以降は保険証を出すだけで診察を受けることができます。

 

 医療費は、病院の規模や診察内容によって異なりますが、基本的には一律となっています。一部自費負担などを設定している病院もありますが、印象としては個人病院などでは100元~200元で薬の処方を含めた診察を受けることができます。

 

 

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衛生福利部中央健康保險署 ホームページより

 

 

 また衛生福利部中央健康保險署の運営するアプリもあり、アプリ上に表示されるQRコードによりオンライン診断や在宅医療、新型コロナウイルスによる隔離後の検査や診察が受けられるという試みも始まっています。

 

 

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衛生福利部中央健康保險署 ホームページより

 

 

 マスクの購入やコロナワクチンの予約・摂取のシステムも、保険証を活用して運用されています。大人から子供まで、全ての保険証が統一されているため、子供の身分証としても活用しています。

 

 気になる保険料ですが、民国110年度(2021年度)は、収入の5.17%と定められています。昨年は4.69%でしたが、値上がりした形となります。公務員や会社員、自営業、定収入家庭などの分類により、収入の5.17%のうち、全額負担、7割負担、3割負担、免除などの割合が決まっており、定められた保険料を支払う必要があります。

 

 薬代まで含めて一度の受診で100元~200元と安く病院に行くことができるので、ちょっとしたことで病院を受診する老人が多く、「無駄遣いではないか」と運用の課題もあるのが現状です。今後、高齢化社会が進む中、保険料の負担がさらに増すのではないかとも懸念されていますが、そこも得意のIT駆使して乗り切ってほしいものです。

 

 

<台湾では、引き続き警戒レベル第2級の維持>

 8月21日、中央流行疫情指揮センターは、8月24日から9月6日まで、台湾全土における感染状況の警戒レベル第2級を維持することを発表しました。現在、台湾国内での感染状況は1日1桁と安定してコントロールされていますが、感染対策と人々の生活の質を共に考慮するため、今後も引き続き感染状況を観察し、感染対策の規制措置を段階的に着実に適度に緩和していくということです。

 

 本日から、台湾製のコロナワクチンの接種も始まりました。台湾ではワクチンが引き続き不足しており、私も台湾製ワクチンの接種を検討しています。また次回、最新状況をお伝えしたいと思います。どうぞご期待ください。

 

 

(単位 1元=ニュー台湾ドルは3.93円 8月23日時点)

 

 

 

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i.YUKO

写真 IRuniverse取材記者、フリーライター、フリーランス通訳/翻訳者(日‐中)

 2017年より台湾在住。3児の子育てをしながら、手作り食品の販売等、さまざまな活動を行う。

 趣味は、手芸、石鹸作り、台湾料理研究、旅行。

 *通訳、翻訳および台湾案内等のご要望は、MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話よりお問い合わせください。

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