台湾主要LEDメーカーの2021年第2四半期の財務報告は前期に引き続き良好な結果を示している。

 

 主要なところでは、ENNOSTAR(中国語名:富采投資控股股份有限公司)、EVERLIGHT ELECTRONICS(中国語名:億光電子工業股份有限公司)、LIGITEK ELECTRONICS(中国語名:立碁電子工業股份有限公司)、EPILEDS TECHNOLOGIES(中国語名:光鋐科技股份有限公司)、TYNTEK CORPORATION(中国語名:鼎元光電科技股份有限公司)、およびOPTO TECH(中国語名:光磊科技股份有限公司)の業績は、いずれも粗利率が20%を超える好調ぶりだ。

 

 台湾のLED製造は、中国大陸が大量に安価なLEDを製造し始めたことにより、一時期低迷していた。そこから現在の状況に好転した背景には、マイクロLED を始めとした特殊技術を必要とするLEDの開発に成功し、同時に需要も拡大していることがあると考えられる。

 

 中でも、2021年1月に正式に設立されたENNOSTARは最新技術を用いたLED製造に力を入れている。例えば、ミニLEDやセンサ用途でのLEDの技術・ミニLEDバックライトユニット・マイクロLED・透明マイクロLEDディスプレーパネル等がある。ミニLEDバックライトはモバイル端末から大画面TVまでさまざまなサイズの液晶ディスプレイに使用されるもので、搭載することにより液晶ディスプレイの表示性能を格段に向上させることができる製品だ。その他、マイクロLED用チップのためのRGBそれぞれの6インチウェハ、VCSELを始めとしたさまざまな用途に向けた化合物半導体ウェハも開発しており、このような最先端技術が台湾のLED産業を支えているのである。業界予測によると、今後も自動車・センサ・IT・プラント照明・赤外線などの需要は引き続き堅調であり、さらにAppleをはじめとしたミニLEDバックライトの数は増加するとされていることもあって、業界の見通しは明るい。

 

 単体の四半期利益率では、EVERLIGHT ELECTRONICSが一時的に1株当たり1.37元と過去27期における最高を記録し、業界トップとなった。2位はENNOSTARの1.03元であった。営業利益率は、前述の6社においてENNOSTARを除き全てが2桁を記録している。中でもLIGITEK ELECTRONICSは20.4%と過去最高を記録し、一時的に株価のトップにランクインした。EVERLIGHT ELECTRONICSも2010年第3四半期以来最高の11.77%に達した。

 

 このように、台湾のLED製造は長きにわたり低迷してきたが、今になって拡大傾向にある。Lextar Electronics(中国語名:隆達電子股份有限公司)はミニLEDの供給以外に新たなミニLED開発の需要に応えるため相次いで50〜100%の拡張計画を開始、センサ部品の新工場は第4四半期に量産を始めた。OPTO TECHも、生産を拡大するための設備投資に8億元を費やす予定だ。LED用パッケージの筆頭企業であるEVERLIGHT ELECTRONICS は、受注が好調である熱−光カプラの生産拡張計画を開始した。チップとパッケージ生産についても赤字から脱却し拡張計画に至っている。これは、中国大陸がLED産業に投資を開始して以来、初めてとなる傾向である。

 

 今後も、LEDの需要の拡大は続くことが予測されている。台湾のLED市場がようやく掴んだ優位を保つためには、安価な中国製のLEDに対抗するのではなく、技術の最先端を走り続けられるか否かがカギとなるだろう。

 

 

(単位 1元=ニュー台湾ドルは3.95円 8月19日時点)

 

 

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i.YUKO

写真 IRuniverse取材記者、フリーライター、フリーランス通訳/翻訳者(日‐中)

 2017年より台湾在住。3児の子育てをしながら、手作り食品の販売等、さまざまな活動を行う。

 趣味は、手芸、石鹸作り、台湾料理研究、旅行。

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