Road to Carbon Neutrality:Renewable Energies and Energy Storageと題したセミナーが開催された。その内容をお伝えする。プレゼンターは、世界最大の類に入る多国籍エネルギー会社Total energies、ユミコア社、化学物質研究第一人者のSolvey社の3社。

 

 

Total energies:同社が取り組むカーボンゼロ

 1924年に多国籍石油ガス会社として設立され、現在世界大規模企業トップ25、炭素排出量トップ100に入るとされる同社であるが、「2030年までに再生可能エネルギーで世界のトップ5に入る」を目標に掲げて大規模なニューエネルギー投資を進行中。今年5月には社名をTotalからTotal energiesへ変更し、マルチエネルギー会社として変身していく決意を表明。今年6月には、伊藤忠もメンバーに加わっている「アンモニア協議会」立ち上げに参画。

 

→(関連記事)伊藤忠商事など23社が次世代舶用燃料の利用を目指す「アンモニア協議会」を設立

 

 

ロゴと写真

    同社ロゴ         プレゼンターPhilipOliver氏

 

 

 人口増加していく世界でエネルギーは今後より量が要されるがそのような中で我々は2050年にカーボンゼロ達成できていることを目標に据え、販売するエネルギー源の転換に取り組んでいる。

 

 その過程中である2020~2030年はエナジーカンパニーにとって変革の時期だと捉えており、2030年には我々が販売するエネルギーミックスは今と大分違ったものになる見通しでいるがその予想が以下表となる。

 

 

■同社目標の販売エネルギーミックス


グラフ

 

 さらに2050年には我々の販売エネルギーミックスは、40%リニューアルパワー、40%ナチュラルガス、そして20%オイル、を目標に定めておりオイルカンパニーからの脱却を図ると同時に、リニューアルエネルギー提供会社としてトップ5に入るつもりだ。

 

 

■同社目標発電量

 

グラフ

 

 

 各エネルギー開発の進捗は国内外で進められており、以下の状況となっている。

 

 

■太陽光エネルギー開発(ソーラー)

 資金を得て現在、ワールドクラスのプロジェクトを準備中。インド、スペイン、アメリカ、カタールで展開していく予定。コーポレート PPA(電力の長期(通常 10~25 年)購入契約)締結もヨーロッパとアメリカで進めており、アメリカでは1GW規模が我々のソーラーポートフォリオから提供される見込み。

 

 

■風力

 12GWを超える累積洋上風力開発ポートフォリオを備えた世界中の20を超える洋上風力プロジェクトを開発または投資しており、スコットランド、UK、韓国、フランスで現在風力発電を建設中。20%/年成長を目標として掲げている。

 

 また、洋上オフショア風力テクノロジー事業では我々はパイオニアの位置につけている。

 

 日本でもソーラーポートフォリオを有している。

 


図

 

 

■CCS(二酸化炭素回収・貯留)

 北海にCCS設備を設置中。2030年までにキャパシティMtCO2/yを目標としている。

 

 

ユミコア:同社が取り組む持続可能バッテリーについて

 マテリアルテクノロジーそして非鉄金属リサイクルを手掛けるユミコアであるが、20年程前よりスマートフォン等に使用される二次電池材料の提供もしており、今世の中で使われている5つのバッテリーの内1つを我々が提供している。

 

 

■ユミコア社が手掛けるバッテリー分野

 

図

 

 

 また同時に我々は、グローバルに製品を供給している。

 

 

図

 

 

 バッテリー需要が2030年までに2,600GWhに上ると予想されている中、バッテリー供給会社は、生産量増加と脱炭素化との2つの課題を同時に抱えた状態となっている。先進的材料のますます増していく複雑さは、競争のはげしいグローバルマーケットでの厳しいイノベーションを要求することになる。その中で我々は、5つの軸をもって、2030年へ向けたバッテリーサプライチェーン構築を進めている。

 

 

■2030年までのバッテリー需要予想グラフ


グラフ

 

 

 それでは5つの軸の内いくつかを紹介する。

 

 

■軸1

 消費者、OEM、環境問題にとって究極のソリューションであるリチウムイオンバッテリーエネルギー密度を増加させ同時に、化学イノベーションによって複雑な材料ミックスを実現化させること。

 

 

■軸2

 巨大なバッテリーマーケットの発展は、これまでよりもさらにコスト競争力と持続可能を兼ね添えた製造技術を要求する。つまり、製造技術は、製品の複雑性の向上に対応しながら、迅速にスケールアップする能力が求められる。これにはプロセスイノベーションが鍵と言える。当社のBMPCC(Battery Materials Process Competence Center)は、より持続可能なプロセスに向けた継続的ロードマップに取り組んでいる。

 

 

■軸4

 リサイクルは、バッテリー材料対処にかかわる重要な、持続可能な選択肢である。我々は、利用可能なUmicoreのリサイクル・精製技術を保有している。

 

図

 

 

Solvey:我々が取り組むクリーン水素

 私たちは、人類が営む日常生活の多方面にわたってお役に立っている化学会社であり、我々の革新的なソリューションは家の中の品々や食品、消費財、飛行機、自動車、バッテリー、スマートデバイス、ヘルスケア製品、水や浄化システムなどの製品が、より安全でクリーンで持続可能なものとなることに貢献している。すべての人に持続可能な共通の価値を創造することを目指しており、気候の保護、資源の保全、より良い生活の育成を3本柱として活動している。

 

 それでは、我々がなぜ、クリーンな水素を追求しているのかを説明したい。水素には4種のタイプがあるがこれらはいずれも地球上には純粋な形では見つかっていない。つまりH2は、天然ガス、バイオマス、水などから生成されるものであるが、この、H2を利用した場合の気候変動への影響はH2製造に必要とされる資源とエネルギーの二酸化炭素排出量にかかってくる。下表は4種類の水素生成手段であるがこの内、気候目標達成のためには、再生産かできる燃料源(太陽、風など)からつくられるグリーン水素の大幅な増加が必要なのだと我々は考える。

 

 

図

 

 

グラフ

 

 

 ソルベイは上記表バリューチェーン全体に大きな存在価値を現すが、バリューチェーンを加速させるためには重要な下記3課題を同時に克服しなければならない。

 

 ■適切なインセンティブとインフラを供給することで、グリーンパワーのコストを下げ、グリーン水素にシフトさせるに十分な量を生産する

 ■グリーン水素生産と使用に必要な電力コストを超えているTCOを軽減させる

 ■トータルコストの削減

 

 そして、Salvayの革新的な先端材料が、グリーン水素に競争力をもたらす(しかも大規模に)鍵であると我々は考える。

 

 

(IRuniverse)