カーボンゼロ時代のアルミニウム生産 #18 ペットボトル、またあえるボトルとアルミ缶」からの続き

 

 学校法人早稲田大学とサントリーインターナショナル(株)は、2021年5月24日、「資源循環型社会の実現に関する協定書」を締結したと発表した。4月には「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」が100%サスティナブルなリサイクルボトルになったことを発表している。

 

 使用済みペットボトルを何度もペットボトルに循環させる「ボトルtoボトル」水平リサイクルの実現に向けた施策を、同大学に関わる学生を巻き込んだ活動として開始する。2020年秋より、学内で排出されるペットボトルの分別を実施しているが、更なるリサイクル工程での品質向上や、より効率的なリサイクルの実現に向けた共同研究を推進していくという。

 

 次世代に引き継ぐ活動は他大学でも積極的に行われており、某国立大学の研究室でも、海洋プラスチック汚染の監視と軽減を目標に、海洋生物への影響の研究を、科学に基づいて長年行うなどの取り組みがある。

 

 持続的なプラスチック使用削減を可能とするために、多くの大学が民間企業や研究機関と協同して行っているが、海洋プラスチック汚染は、深刻な環境問題としてG7など国際的に注目が集まっている。

 

 このままでは、来たる2050年を迎える約30年後には、海洋プラスチックが海洋中の魚の存在量を上回るとも試算されている。その中で、特に、東南アジアの影響は大きいとされる。ASEAN地域から投棄される廃プラスチックは、世界の30%の投機の量を占め、被害が非常に甚大となっていると言われている。

 

 経済成長に伴い、深刻な都市ゴミの問題を抱える東南アジアで、今後も日本の大学や民間企業が協力、協同した上での行動を起こし、解決のための提言を行い、状況を是正する取り組みは必要となるだろう。

 

 実際に使用するプラスチックを製造するメーカーが、本気でグローバル規模で取り組むことは、日本が進出を拡大する際にも重要な視点であろう。少子化の影響で国内から海外へと販路を広げようと躍起となっている日本企業は、リサイクル先進国、カーボンゼロ時代の先進国の取り組みとして、モデルとなるべきではないだろうか。

 

 そして、ペットボトルのみならず、従来からリサイクルの主流である優等生、アルミ缶にいたっても、缶軽量化などパッケージの工夫は加速している。

 

 缶ビールやコーヒーボトルなどの缶について、消費者の扱いやすさを確保しながらも、使用する資源量を極限まで減らすことを目指し、各社は、軽量化を進めている。

 

 サントリーの「プレミアムモルツ」のアルミ缶は、2008年にビールの缶のふた口径を小さくした。2014年にはビール、チューハイなどの人気に火がついている低アルコール飲料の缶の胴部分を薄くする取り組みが行われたという。

 

 キリンビバレッジの「生茶」350mlアルミ缶は、1990年比で19%の軽量化を実現しているという。

 

 

写真

キリンビバレッジ(株) リデュースアルミ缶の環境負荷低減

出典:(社)全国清涼飲料連合会

 

 

 こういった、飲用の際には消費者にはあまり気づかれないような小さい変化であっても、1缶あたりの資源量が減少すると、グローバルの総量では、まさに“塵も積もれば山”となる。

 

 特に、東南アジアなど多くの周辺諸国に販路を持つ国内メーカーは、総量に対する影響が大きく、中長期的に流通も含め、非常に大きな実際の数量を動かすこととなる。国内外へのアピールは、市民、そして狙いとなる学生など若い層にも意識的な変化をもたらすことが期待されるだろう。

 

 国際社会でも環境負荷提言、カーボンゼロ時代がアルミ生産の中で加速する中で、民間企業の具体的な方針、そして日本の「技術力」を大きな武器とした推進が期待される。

 

出典:https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1131.html

 

 

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A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。