伊藤忠商事は5月6日、豪Mineral Carbonation International(MCi)と二酸化炭素(CO2)固定化技術を活用した事業で協業契約を締結したと発表した。(写真はMCiの豪ニューキャッスルにあるパイロットプラント。伊藤忠商事の公式HPから転載)

 

 CO2固定化技術は製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリートなど)にCO2を吸収させることで、炭酸カルシウムなどを製造する技術である。半永久的にCO2を固定化することができる。また、製造された炭酸カルシウムなどはセメント、コンクリート、建設用資材などの原材料となり、幅広い用途での活用が見込めるという。

 

 伊藤忠商事は今回の契約締結をきっかけにMCiの実証プラント候補地の紹介・選定を行い、早期の商用化を目指す。他方、MCiは2013年に豪州に設立以来、CO2固定化技術に関する研究開発を進めてきた。同社はこの技術を活用して炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)、シリカ、そのほかの製品を製造している。

 

 これまでに必要とされたCO2の「分離・回収工程」(大気中のCO2を含む気体から、CO2のみを分離・回収する工程)を省くことができるようになったほか、CO2をスラグや石炭灰に固定・付着させる際に化学薬品を使う必要がなくなるとしている。

 

 CO2分離回収設備にかかわる世界の市場規模は2030年に約6兆円、50年には約10兆円になると予測されており、将来的には事業拡大に向けたMCiへの資本参加や、日本国外への技術展開も検討するという。

 

(IRuniverse)