Battery Resourcers社は2015年マサチューセッツ州ウースターのウースター工科大学(米国で古く有名な私立工科大学:Worcester Polytechnic Institute)の出身者がスピンアウトした企業で、同社は、ウースターとミシガン州Noviの2ヵ所でEVバッテリーのリサイクルのデモ運転を行ってきた。同社のユニークな点は使用済みバッテリーをリサイクルするだけに留まらず、ニッケル、コバルト、マンガンを回収してそれをバッテリーメーカーへバッテリー材料の製品として提供するところまで発展したアイデアで事業化を目指してきた。しかも黒鉛も精製しバッテリーグレードまで精製して製品化するデモ運転を行ってきた。

 

 実際に生産して製品化した重量は年間ベースで15トンのレベルのデモ運転であるが、将来2万台のEV車、重量で1万トンのバッテリーを処理する事業構想である。

 

 同社のCEOマイク・オ・クロンリー(Mike O’Kronley)は、事業構想にベンチャー資金2000万ドル“シリーズB資本”を活用しており、Orbia Venture他多数のベンチャーが資本投下に応じている。

 

 相当の割合の輸送市場が電化されて行くに従い、同社は何千トンものEVバッテリーが今世紀の終わりには道路から排出される問題をどう解決したら良いかと考え始めた。その結果同社が出した結論は既にリサイクルだけする事なら既に何社も取り組んでいるので、まったく新しい発想で、正極も負極も電解質も回収後に精製して再度、EVバッテリー用に提供しようとの結論に至った。

 

 マイク・オ・クロンリーは同社以外の企業はバッテリーから回収した、銅やアルミニウム、ニッケル、コバルトを回収して、それらを一般産業の原料へ戻すだけの考えであったが、同社はそれらをEVバッテリーの材料として戻す事を考えた。いわばBatteryTOBatteryの水平リサイクルだ。

 

 同社の考えによるとバッテリーメーカーが次の10年間に鉱山資源へ増大する依存度も下げられる。ある研究が昨年12月に出版され、バッテリー化学ではEVの大きさが迅速にしかも発展するに従い、コバルトへの要求度はファクター17まで増大し、ニッケルの場合はファクター28まで増大する。

 

 現在同社の2ヵ所のデモ運転では年間15トンの正極材料がバッテリー用に精製されているが商業ベースでは2万台のEVバッテリー1万トンを回収を目指している。

 

 同社の独自のリサイクルプロセスの優位な点は、古いバッテリーも新しいバッテリーも両方を処理し、現時点での最新バッテリーへ正極を提供しようとの考えである。その為10年経過したEVバッテリーをChevy Voltから提供を受け、再度現時点でしようされているニッケルの多い正極活性物質を製造していると、明らかにした。

 

 マイク・オ・クロンリーによると自動車製造メーカや消費者向け電子機器会社などから既にコンタクトを受けているほか、詳細は明らかにしなかったが、Jaguar Land Roverの意向を受けたInMotionベンチャーよりも接触されていると明らかにした。

 

 

(IRUNIVERSE TK)