日揮ホールディングスは4月6日、小型モジュール原子炉(SMR)プラントの設計・調達・建設(EPC)事業における海外進出に関連し、米NuScale Powerへの出資を決定したと発表した。米国子会社を通じて特別目的会社を設立し、NuScaleに対し4,000万ドルを出資する。(写真はNuScale Powerの公式HPから引用)


 SMRプラントとは、従来の100万kW超の原子力発電所と異なり、1基毎の出力を小さくすることで原子炉の冷却を容易にし、安全性を高めた原子炉を指す。NuScale Powerが開発中のSMRは直径約4.5メートル、高さ約23メートル、1基あたり7.7万kWeの出力の小型モジュール型原子炉とされる。調査機関によると、2050年までに世界で必要となる新規電力容量約4,900GWのうちSMR市場は約230GWを占める見込みだ。NuScaleのSMRが一定のシェアを占めていくことが想定されるという。

 

 日揮ホールディングスは、SMRが水素や再生可能エネルギーと並び、脱炭素社会の実現への貢献が期待できること、さらにNuScaleの技術がほかのSMR技術に先駆けて、2020年8月に米国初の設計認証を取得し、米国原子力規制委員会(NRC)から安全性が認められ、商業化に最も近いSMR技術であることからNuScaleへの出資を決定した。


 今回の出資によって、日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルを通じて、NuScaleの親会社である米大手エンジニアリング会社「Fluor Corporation」と協業し、NuScaleの最初のSMRプラント建設プロジェクトに参画する見通しだ。

 

 中長期的には海外市場を中心にSMRのEPCプロジェクトを受注・遂行していくことを視野に入れるほか、SMRと再生可能エネルギー設備、水素製造設備、海水淡水化設備とのインテグレーションも検討する。

 

(IRuniverse)