国連のグテーレス事務総長はこのほど、「電力業界から石炭を徐々に淘汰することは、昇温幅を1.5℃以内に抑えるための最も重要な一歩だ。これは、2030年までに世界の発電分野での石炭使用量を2010年比で80%削減しなければならないことを意味している」と述べた。グテーレス事務総長は、OECD諸国に対し、2030年までに石炭を段階的に廃棄することにコミットするよう求め、非OECD諸国に対しては、2040年に石炭を廃棄するよう求めた。 石炭発電所への国際的な資金援助を停止し、投資を持続可能なエネルギープロジェクトにシフトする。

 

 グテーレス氏は最近、英国とカナダ政府が共催した「石炭淘汰支援連盟」(PPCA)2021年世界サミットでビデオ出演であいさつした。新型コロナウイルスの猛威を背景に、公共部門と民間部門の多くの政策決定者が身を挺して、今世紀中ばまでにネットゼロ排出を実現することを求めた。

 

 「石炭淘汰支援連盟」は2017年11月の「気候変動枠組条約」第23回締約国総会の期間中、カナダと英国が共同で発起し、化石燃料と石炭発電所の段階的淘汰を加速することを目的としている。 このプロジェクトはカナダ政府の資金支援を受けており、現在104の国、都市、地域、国際機関のメンバーを受け入れている。

 

 グテーレス氏は、「現実の検証を受けなければならないことを望んでいる」と述べたが、国連気候変動枠組条約の事務局が2月26日に発表した国家自主貢献の初期報告書によると、現実の状況は非常に厳しく、各国の現在の進展速度では、2030年の世界の炭素排出レベルは2010年より0.5%しか低下しないという。

 

 グテーレス氏は、今年11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開催前に、より大規模な排出削減目標を再提出し、「発電業界でコストが日増しに上昇している化石燃料の使用を停止する措置を直ちに講じることが最も効果的な措置の一つだ」と呼びかけた。

 

 グテーレス氏はまた、「石炭はかつて、地域全体に安価な電力をもたらし、コミュニティに重要な雇用を提供したこともあった。しかし、そのような日は二度と戻ってこない」とした上で「2019年、世界の再生可能エネルギー設備容量の半数以上が新たに増加し、そのコストはいずれも最も安価な石炭発電所より小さい。化石燃料に関連する大気汚染は毎年世界の5分の1が死亡する原因となっている。石炭の経済面での実行可能性も低下しつつある」と強調した。

 

 まだ、「現在、世界のほとんどの市場で、再生可能エネルギー発電施設の新設に必要な費用は石炭発電所よりも低くなっている」とし、 国際なエネルギー機関の試算によると、中国やインドなどでは太陽光発電規模のプロジェクトを新たに建設する費用は既存の火力発電所を運転し続けるよりも低く、「世界的に再生可能エネルギーのコストは日々低下している」と付け加えた。

 

 

(IRUNIVERSE 趙 嘉瑋)