→「カーボンゼロ時代のアルミニウム生産Vol.12」から続く

 

  3月31日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、再びフランスでロックダウンを行うことを発表した。フランス全土の学校を3週間閉鎖し、オンラインによるリモート学習に切り替える。そして4月3日(土)からは、日用品以外の小売店が営業できなくなり、基本的に自宅から10キロ圏外への移動は、相応の理由がない限り(書面携帯などが必要)禁止となる。

 

 フランスをはじめ欧州では新型コロナウイルスの流行が続いていることから、ロックダウンを強化する動きが強まっている。フランスでは現在のところ、5,000人以上が集中治療室(ICU)で治療を受けているとされており、460万人以上が新型ウイルスに感染し、9万5495人が亡くなっているという。

 

 日本においても新型コロナウィルスの感染は、変異株の新たな流行の脅威を中心に予断を許さない状況であるが、イースターの中で制限を課さなければならないヨーロッパの状況はさらに悪化している。筆者のフランスの友人にヒアリングしたところ、移動に制限がかかり買い物も最低限のため、自身の誕生日も寂しく過ごしたこと、リモートで仕事をする中でベビーシッターにも依頼できなくなった事から特にファミリー層へ多くの弊害が出ているという。

 

 世界では感染のピークに直面している中で、第三波に対応するための措置が取られている。

 

 そのような中、新型コロナウィルスの流行に伴い、去年から外出などが控えられているが、エアゾールスプレー市場は活況を維持しているという。

 

 Covid-19危機の最中にもかかわらず、アルミニウムエアゾール缶の生産は2020年前半にわずかに減少しただけであったという。世界アルミエアゾール缶賞2020では、チュニジアの消費者向けに企画され、製造されたトルコのメーカーARYUM社が製造した缶にWorld Aluminium Aerosol Can Award2020が授与された。

 

 

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 ARYUM社は、4種類のフレグランスからなる専用デオドラントライン「アップ」の200ml缶を開発した。個性的な360°エンボス技術と配向印刷技術を組み合わせ、ロゴをアルミ缶の平らな面の露出した位置に配置し、缶の全周を彩ることで、製品の偽造やブランド海賊行為も防止する技術も評価されたという。そして2020年は、国際審査員は初めて、新たに新設されたカテゴリーである”持続可能性”カテゴリーの受賞者も選ばれた。

 

 初となるウィナーは、ドイツメーカー、Tubex社が製造したUnilever社”Rexona Recycled Refreshed“であった。24時間制汗剤のアルミニウム製エアゾール缶は、特許を取得した新しい合金を使用して製造され、25%の使用済みリサイクルアルミニウム(PCR)が含まれている。この新しい合金の組み合わせ缶の形状により、従来缶よりも14%軽量になったことも、エコということで評価されたという。

 

 また、缶の内側を保護するために粉体塗装が使用されるが、缶の内面の50%のみとなっていることも、再利用や過剰な塗料の使用を削減したとして評価の対象となった。

 

 エアゾール缶は、このコロナ渦で、更に消臭、リフレッシュなど、匂いを気にする消費者のみならず、衛生面を気にするようになった消費者などにも、新たに受け入れられている側面もあろう。消費財製品の中でも安定した需要を保っているこのカテゴリーで、リサイクルのしやすさや、素材などに着目した賞の動向は、今後も非常に注目されるであろう。

(Vol.14)へ続く

 

出典:

 ・http://aryum.com.tr/

 ・https://aluminiumandalloys.com/world-aluminium-aerosol-can-award-2020/

 

 

A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。