一、貿易停止の原因と始末

 ミャンマーのクーデター情勢は激しさを増している。 3月27日、ミャンマーで建軍節閲兵式が行われた当日、ミャンマーの多くの地域で街頭デモが勃発し、軍警が発砲した。 国連側は、今回の衝突で少なくとも子どもを含む数十人が死亡したとしている。

 

 ミャンマーの建軍節に流血衝突が発生し、米国、英国、日本、ドイツなど12ヶ国の国防相は共同声明を発表し、ミャンマー軍を非難し、暴力行為の中止を訴えた。 バイデン米大統領は事件を「絶対に受け入れられない」と述べ、対応として制裁を準備していると述べた。 その後、米通商代表部は声明の中で、米国とミャンマーのすべての貿易往来を一時停止し、直ちに発効すると表明した。

 

 

二、ミャンマー紡績アパレル業の発展と中国への影響

 ミャンマーはアジアのインドシナ半島北西部に位置し、インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接している。国土面積は67.6万平方キロメートルで、東南アジア最大の陸地面積を持つ国である。ミャンマーは農業を中心とし、農業人口の割合が60%を超えており、産業用電力が不足している。石油及び天然ガスの輸出が経済の主導的地位を占めている。

 

 ミャンマーには現在約600社のアパレル工場があり、外資と合資が半分以上を占めており、アパレル産業への投資の約45%は中国からのものであり、すでにミャンマー中国製服商会が設立されている。

 

 アパレル工場は主にヤンゴン周辺に集中し、現地労働力約50万人を雇用している。2019年のミャンマーの衣料品輸出額は約50億ドルで、主な輸出市場は日本、EU、韓国、中国、米国だ。貿易特恵制(GSP)のため、ミャンマーの衣料品のEUへの輸出は免税を受けることができる。

 

 しかし、ミャンマーの産業チェーンの発展は不均衡であり、アパレル産業は急速に成長し、繊維川上産業の発展は発展は比較的に遅い。大きな繊維工場や捺染工場はなく、糸や生地などの原材料は主に輸入に依存しており、中国は原材料の主な輸入元国である。2019年、中国からミャンマーへの繊維製品の輸出額は24億9500万ドルで、中国の繊維製品総輸出額の2.07%を占め、繊維製品輸出国の第13位となった。 また、魯泰などの有名企業がミャンマーに投資しており、一帯一路の国として、中国とミャンマーは経済と貿易の往来が密接であり、中国の重要なパートナーである。

 

 2020年、ミャンマーは米国に対して4.45億ドルを輸出し、米国の織物服装の全輸入の0.5%を占めている。全シェアは小さいものだが、2020年のコロナの原因で、米国の紡績服装の輸入が20%近く減少した場合も、ミャンマーからの輸入は同31.24%増となり、今後の成長の可能性は大きいということである。

 

 しかし、今年のミャンマーの情勢が不安定なため、米国のバイヤーはミャンマーからの調達を極力避け、米国の輸入は大幅に落ち込んでいる。米国は貿易停止を宣言した後、ミャンマーの対米輸出にさらに打撃を与え、中国からの原材料輸入も減少する。この状況で、人民の安定できない生活だけではなく、中国とミャンマーの経済貿易にもマイナスになる。

 

 かつ、他の工業用原料、例えば錫、レアアース(希土類)もミャンマーから中国へと送られている重要な鉱物産品である。ミャンマーの社会情勢が混沌とするなか、こうした工業原料面においてもネガティブな影響は避けられないと思われる。

 

 

(IRUNIVERSE 趙 嘉瑋)