ドイツのフォルクス・ワーゲン社が2012年から電気自動車用の全固体型バッテリーの開発パートナーとなっている米国ベンチャー企業Quantum Scape(QS)社は100%セラミックの全個体電解質LiBの開発企業と2025年までにEV車を2200万台生産する目標を掲げている。

 

 QS社は創業者Tim HolmeとJ.B. Straubelが創業者で,かつLithium-ion Batteryの創業者で,グッドイナフ,吉野彰と共に2019年ノーベル化学賞受賞者Stanley Whittingham(*1)も事業参加しており、QS社は最大出資のVW社他他社からが最大の出資者からUS3億ドルの開発資金のコミットメントも得ている。

*1:インターカレーションの発見者、最初の充電式リチウムイオン電池(二硫化チタンのカソード、リチウムアルミのアノード)の発明者で、特許をEXXONへ譲渡し、EXXONはLi/LiClO4/TiS2の商業生産を目指したが安全性の問題で事業化を中断した。現在NY州立ビンガムトン校の材料研究所、材料科学・高額プログラムの長、DOEの北東エネルギー化学貯蔵センター(NECCES)長で活動中。

 

 

Solid-State Landscape by Quantum Scape(QS社がHPで開示する世界の全個体型バッテリーの開発状況)

表

 

 

 上記から全固体電解質LiBは、①Sulfide硫化物、②Polymer高分子、③セラミックの3種類が競合しております。トヨタやSamsungは硫化物、Ionic MaterialsとSESは高分子、ProLogiumとQS社はセラミックです。

 

 アノードは、①カーボン・シリコンと②リチウムメタルの2種類で、カーボン・シリコンは2社、リチウムメタルが5社です。

 

 寿命に関しては、7社中3社が性能目標レベルに達しております。電流密度も7社中2社が合格点となっております。作動温度も7社中4社が合格点となっております。

 

 

図

 

 

グラフ

 

 

 同社の開発は未だ途上ですが、2018年QS社とVW社が新たな開発パートナーシップを確立し、量産体制の技術の確立を目指している。同社の全固体電解質バッテリーは、80%充電時間が15分(従来LiBは40分)など一部のデータを開示し始めております。最も注目するのは100%セラミック電解質がリチウムイオンバッテリーの開発をリードしている事に世界が注目しております。しかもVW社が米国QS社の開発に参加しており、トヨタ・パナソニックグループや中国企業との競争にも良い意味で米国企業が参入し、世界規模のLiB開発の成果が期待できる実用レベルに近づいている事が感じられます。

 

 

(IRUNIVERSE TK)