東京北部および埼玉南部を拠点とする、ある古紙ディーラーに話を聞いたところによると、直近での古紙の扱い量は、前年同期比で約4割減少しているという。

 

 

写真事業系段ボール激減、家庭系増えるも、汚れ、異物で製紙会社は拒否

 これは、周知の通りコロナショックにより事業活動が停滞しているせいで、特に小売り、飲食系の段ボールが激減していることによる。

 

 新聞・雑誌などの古紙類は、コロナに関わらず排出量は変わらないというが、しかし、ここへきてお家時間が増えたことで、宅配便などの利用が増し、家庭系の段ボールの排出が増えたという。

 

 しかし、この家庭系ダンボール、再利用に関しては品質的にあまり向かない。というのも、食品残渣や油汚れ、異物混入が多く、製紙会社に持ち込んでも「突き返されるのが関の山」なのだそうだ。

 

 結果、それらは焼却処分されるか、または荷を解いて、再度選別して綺麗なものだけを製紙会社納入しなければならない。

 

 「家庭系段ボールが増えて、回収に関しても人手が足りない。行政でも急に回収の人員を増やすわけにもいかず、困惑しているようです。その上、新たに分別をしなければならない。人手がかかることばかりです‥」

 

表 事業系の方が、まだ「モラルが高い」と、担当氏はこぼす。

 

 なお、同社は古紙の輸出も行なってはいるが、取扱量は少ないという。

 

 左図は、財務省が発表した、昨年末の段ボール古紙の輸出状況。中国、ベトナムが圧倒的に多いが、中国は対前年比72.4%(重量比)であるのに対し、ベトナム向けは、同103%と伸びている。

 

 日本からの古紙価格は、コロナショックにより、発生減で軒並み前年比割れをしているが、現今の国際的な古紙価格は上がっており、東南アジアでは国内大手製紙メーカーが生産拠点を構える計画を発表するなど、マーケットは活況に向かう気配もあるが、国内ではいろいろと課題が渦巻いているようだ。

 

 

(IRuniverse Kaneshige)