中国では当たり前になっている超小型EV。日本でもついに国産の超小型EVが市場参入を果たすことになった。それが自動車メーカーではなく、出光興産という石油精製でありケミカル企業が行うというところに斬新さがある。出光とのパートナーには競技用自動車を手掛けるタジマモーターコーポレーションが入る。2021年4月に正式に設立することになる株式会社出光タジマEVのオンラインによる記者会見が16日の17時から行われた。

 

 

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 出光&タジマのプレスリリースでは

 出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:木藤 俊一、以下 出光興産)は、株式会社タジマモーターコーポレーション(本社:東京都中野区、代表取締役会長:田嶋 伸博、以下 タジマモーター)と、超小型EVなどの次世代モビリティおよびサービスの開発を行う、「株式会社出光タジマEV」(代表者:田嶋 伸博)を2021年4月に設立します。

 

 当社のSSネットワークおよび素材開発技術と、タジマモーターの車両設計の技術を融合し、移動に関する潜在的ニーズに応える、超小型EVを核とした、全く新しいカテゴリーのモビリティを提供してまいります。

 

 新会社はタジマモーターの関連会社である株式会社タジマEVに出光興産が出資し、商号を株式会社出光タジマEVへ変更の上、新たなスタートを切ります。出光タジマEVとして初の新型車両は、2021年10月に発表し、2022年の上市を予定しています。

 

 出光タジマEVは超小型EVの開発・販売だけではなく、車載ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンスローモビリティ開発、新たなサブスクリプションやカーシェアモデルの展開、MaaSに関するデジタルプラットフォームの構築、リサイクルシステムの開発を進めて参ります。

 

 

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 この実証を通じ、地方部に限らず、様々なエリアにおいて、異なる移動手段に対する多様なニーズがあることを確認しました。出光タジマEVは、以下の様なターゲット層に対し、新しいカテゴリーのモビリティを提供することにより、多様な移動に対するニーズに応えていきます。これにより年間100万台相当の新たな需要を創出することを目指します。

 

 

■新たな移動手段やサービスを求めるターゲット層

 岐阜県飛騨市・高山市、千葉県館山市・南房総市における2年間の実証実験から、高齢者層には免許返納に伴う移動のニーズが急増していることが確認されました。また、運転経験が浅い層は、日々の買い物や子供の送り迎えに自動車を利用することに不安があり、自転車や原付に代わる、雨風を凌げる安全で安心な移動手段に対するニーズがあることが分かりました。更に、近隣営業を行う営業職層は、一日の移動距離が15km未満であり、また車両稼働率も20%以下であるため、軽自動車ほどの高い性能・機能は要らないと感じていることも明らかになりました。

 

 年間100万台に上ると想定しました。

 

 これらのニーズに対し、手軽で小回りの利く、必要最小限の機能を備えたモビリティと、デジタル技術を活用した利用の仕組み、また法人と個人ユースを組み合わせた新たな利用モデル(ビジネス特許出願中)を提供することで、移動に関わるコストの低減と地域課題に対する有効な解決策を提供することが可能になると考えます。

 

 

■新しいカテゴリーのモビリティの開発

 上記のニーズに応えるため、出光タジマEVはまず、2020年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠した新たなカテゴリーの超小型EVを開発します。当該EVは、EVならではのスペース効率の高さを最大限活用した4人乗りで、近距離移動に最適な車両です。既存の軽自動車よりも一回り小さく小回りが利き、最高速度60km/h以下の低速で走行することから運転の不安を感じている高齢者層や運転に不慣れな層にも安心してご利用いただけます。

 

 また、シェアリングや定額で利用可能なサブスクリプションや、変化する利用者のニーズに合わせたMaaSを開発し、この超小型EVと合わせて、全国6,400ヵ所の系列SSネットワークにてご提供します。

 

 さらに今後は、系列SSで展開している電力販売と超小型EVを組み合わせた新たなサービスの開発、高齢者の運転状況を見守る仕組み、個々の車両を蓄電池と見立てた分散型エネルギーシステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなど、新たなモビリティサービスの開発に取り組んで参ります。

 

 

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 車体は高性能樹脂、EVの要である電池については、現在、国内外から幅広く採用を検討しており、将来的には出光で電池の製造も行っていくとのことだった。また、リユースバッテリーの採用も検討しており、バッテリーのリサイクルも視野に入れているとのこと。

 

 この、ソーラーパネルも搭載した実に未来的な車両は10月に発表する予定。全長2.5メートル、幅1.3メートルの4人乗り。最高速度は時速60キロメートルで、充電時間は8時間。フル充電の航続距離は120キロメートル前後を見込む。販売価格は100万~150万円程度を目指す。政府が20年9月に公道を走行できる超小型EVの車両規格を定めたことが事業化につながったとのこと。

 

 既存インフラである全国6400のSSを衰退させることなく、今の時代に合った活用を展開していくところが率直にいって成功のカギになると思われる。出光興産の木藤社長は会見で、この事業は単に超小型EVを発売するということだけでなく、これを基点とした地域活性化を図りたいと語られていたことがまた印象的であった。

 

 

(IRUNIVERSE YT)