作秋から顕著になっている海上輸送用のコンテナ不足、フレート高。
昨年まではこのコンテナ、船便のひっ迫はアジアの旧正休み前には解消するのでは?ともみられていたが、2月初旬現在でもまったく解消のめどはたておらず
「これはいつまでに解消できるという問題ではなく、これが常態化するニューノーマルという認識をもつべきかもしれません」
と海上輸送に詳しい専門家は語る。
また国内の物流会社でも
「相変わらずコンテナ不足は続いており、コンテナスペースの確保には苦労しています。重いもの(金属スクラップなど)を船会社が嫌う傾向も変わらず。非常にやりくりが難しい状態が続いている」という。
ただ、これは、コンテナ船に限った特殊事情であり、バルク船や石油タンカーなどのフレートは変わらず低迷したままだという。
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・コンテナ不足は長期化する
しかしなにゆえにここまでコンテナひっ迫は続いているのか?
一般メディアでも多く報じられているが、まとめてみると
1、コロナによる巣籠りでネットショッピングが爆発的に増えた。→下図Amazonの売上高推移を参照。
2、中国のコンテナ生産が減少していた
3、世界の港湾でコロナ感染拡大、荷役業務の停滞→一例として、インド、ブラジル、南ア、米東海岸の港湾でコロナ感染激増
4、実は中国の多くの港湾でもコロナ感染が広がっており、中国側でも停滞しているという説
(出典:http://www.garbagenews.net/archives/1966403.html)
物理的なコンテナ不足というよりも港湾でのコロナ感染拡大によるマンパワーの不足要因のほうが大きい、という見方は少なくない。
また米東海岸による大雪、チリでの高波などの気象、天候影響で当該港湾から出す荷物はさらに遅れが生じている、とも聞く。チリからでいうとワイン、ヨウ素、リチウム、カッパー資源など。
強烈な寒波がおりてくればそもそも港湾業務も停滞するが、そのうえにコロナ感染。
解消する手立てはなにか?と聞くと
「ないわけではないですが、例えば船で運ぶものをエアカーゴ便に変える、など。しかし品物で限定はされるかと思います。あるいは港湾作業を無人化する、など」。
確かに。港湾作業の無人化は未来的だ。しかしそれらが実現できるのは相当先、になるだろう。だからこそ今のひっ迫状況は常態化する可能性があるのだと専門家筋。
船会社も利益重視のスタンスであるため、短距離よりも長距離を望む。船会社が荷物と行く先、トータルでの利益を重視して荷物と荷主を選択しているのは明らか。
世界一のコンテナ生産国である中国はいま、急いでコンテナを新造しているようだが、どうやらそれはワクチン運輸用の空輸向けコンテナだという。
フレートコストも高止まりのまま。
日系の物流会社によると
「インド向けの金属スクラップはまだブッキングできない。台湾向けの需要は多いのだが、それでも来月から値上げ。200ドル~300ドル(1コンテナ当たり)に上がる」
という。日本→台湾向けで200ドル以上というのは異例の高さ。
またコンテナスペースについてはタイ向けが最も確保するのが難しくなっているともいう。
「例えば、香港~台湾あるいはシンガポール~タイ、という航路では台湾、シンガポールまででいっぱいになり、タイ向けのスペースが確保できない。これは年明け以降顕著になっている」とのこと。
しかし一方で剛腕で船を手配する方々もおられ
「直前になってキャンセルなどというスクラップ業者みたいな船会社もあるが、結局はお金なので、高いコストを覚悟して支払えば、船は手配できる。どうしても今出したいのならそうするしかない」と大手スクラップシッパーは語る。実際にかなりな値上げも呑んでいるという。
再び海上輸送に詳しい専門家筋に聞く。
―船会社はまだ減便しているのでしょうか?
「変わらないですね。欧州などはもはや荷役の機会を減らしているほどで欧州から中国への航路はいくつかキャンセルがあったほど」
「それよりも気になっているのは、中国の港湾状況ですね。関係者さんからのお話ですと、あたかも中国国内ではコロナは封じられている、との報道が中心的ですが、実はいまもContinueなのではないか、と。空コンテナがかえってこない理由には中国側も米のようにコロナ感染者が多く、自宅待機などになって荷役業務が進んでいないのではないか、という疑惑、いや疑問があるんですよね。特に中国北部あたりの港が止まっているのではないかと」
続けて
「世界全体的のコンテナ不足はピークアウトしたとの見方があります。1か月先の船の傭船が可能になったり、ブッキングできたり等、少し解消感があるようです。ただ、その中でもニューノーマルを意識した物流の在り方を模索する時期に来たと共通認識を持つことが重要なのかもしれませんね」
(IRUNIVERSE)