~米国ウォルマートのCOVID-19ワクチン配送と、アルミ企業による支援Vol.1~」からの続き

 

 米国ウォルマートが、COVID-19ワクチン配送で協力することが報道され注目を集めているが、リオティントグループにおいても、2020年の新型コロナウィルスへの支援として世界の関連する事業や研究に寄付を行い、その総額は約6000万ドル超となったという。

 

 例えば、オーストラリアのメルボルンにあるマードックチルドレンズリサーチインスティテュートに67万豪ドル(約5300万円)を寄付した。子供の免疫システムに焦点を当て、COVID-19が免疫システムに及ぼす長期的な影響についての研究であり、新型コロナウィルス感染に伴う病気やその進行、家族内での広がりなどの今後の対策などに役立つ、コロナ時代の先を見据えた重要な研究であろう。

 

 他には、マダガスカルのアノジー地域で、最大108人の患者を受け入れられる専用治療センターの建設、ベオグラードの赤十字に20,000ユーロ、ロズニツァの赤十字に20,000ユーロを寄付した他、都市の貧困にあえぐ市民へと食料と衛生用品の提供を行った。

 

 そしてカナダでは、ケベック州の保健局と社会福祉機関に約10万カナダドル相当となる25,000枚のマスクや機器の寄付、そして特にCOVID-19の影響を受けた女性や子供たちが安全に住むことができる場所を提供するため、カナダのラブラドルに住宅を提供する支援を行った。

 カナダのケベック州では、ベンチャー企業に75,000カナダドルを投資し、サージカルマスクを製造する新会社、エンタープライズプレモントを支援するなどの取り組みを行なった。

 

 

写真

Enterprise Prémontスタートアップベンチャー(ケベック、カナダ)
:マスク生産を強化と新しい生産ライン追加に投資

 

 

 米国では、小売最大手ウォルマートが支援を行うが、日本でも小売最大手イオンなどによる支援は行われている。イオンは、新型コロナウイルスにより影響を受けた子どもを支援するため、募金を、4月25日から5月24日の期間、全国のイオングループの店舗や事業所約8600カ所において実施した。

 

 「新型コロナウイルス子ども支援募金」は2849万5266円となり、6月16日、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、認定NPO法人フローレンス、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの3団体に贈呈され、支援が必要な家庭へ食品を届ける活動などに使われる。なお、イオンは、当該募金活動に先立って、4月30日、公益財団法人イオンワンパーセントクラブを通じ、緊急支援金合計2000万円も上記3団体に寄付している。

 

 なお、前述の通り、コロナウィルスワクチンは非常に超低温輸送が必要な特性上、多くの物流での問題を抱えており、欧米でも多くのワクチン輸送のための取り組みが行われている。

 

 英国では、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックのワクチンを、ベルギーにあるファイザーの工場にて生産し、飛行機やトラックで運ばれた。特に温度管理の条件が厳しいファイザー製ワクチンは、専用の冷凍ボックスに入れて配送を行ったが、管理は厳格である。ボックスは1千~5千回分のワクチンをマイナス70度で10日間まで保管し、全地球測位システム(GPS)で追跡が可能であるが、英国内の配送センターで2~8度の冷蔵庫に移してからは5日以内に使用する必要がある。

 

 その様な中、米国冷凍機器メーカーのサーモキングは、ワクチン輸送のための冷凍コンテナの開発を明らかにした。

(Vol.3へ続く)

 

 

出典:

 ・https://www.riotinto.com/news/covid-19

 ・https://www.ryutsuu.biz/strategy/m061644.html

 ・https://www.jp.thermoking.com/

 

 

A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。