11月受注は同月比8.6%増の886.8億円と26ヶ月ぶりに増加、前月比でも7.9%増

 12/22の15時に日本工作機械工業会の11月工作機械受注確報が開示された。11月受注は同月比8.6%増の886.8億円、26ヶ月ぶりに増加に転じ、3ヶ月連続800億円超となり緩やかな回復が続いている。

 

 外需は616.4億円(22.5%増)で、2019年7月以来の600億円超に。主要4業種別では電機・精密向けが140.2億円(2.8倍増)と半導体関連の拡大が寄与している模様で、3ヶ月連続の100億円超に。一般機械も185.1億円(23.4%増)と、主要3拠点で前月比が増加した。一方、自動車は143.5億円(9.9%減)と、前月比では23.2%増も力強さに欠け、航空・造船・輸送用機械向けは27.9億円(31.8%減)とコロナ影響が深刻で厳しさが続いている。地域別ではアジアが330.1億円(65.1%増)、5ヶ月連続増加となっているが、主因は中国で238.8億円(2.1倍増)。コロナ影響を脱し前年同月比6ヶ月連続増、3ヶ月連続で200億円超えに。内訳は電機・精密が4.4倍の99.7億円、一般機械2.4倍増の65.2億円、自動車2.3%増の57.3億円、航空・造船等89%増の3.3億円と主力4業種全てが増加と力強い拡大が続いている。なお中国を除く東アジアも32.9%増ながら、その他アジア7.8%減と依然低調。欧州は101.8億円(18.7%減)と25ヶ月連続減も9ヶ月ぶりに100億円を超えた。ドイツ34.5%増と25ヶ月ぶりに同月比プラス、イタリアも3.8%増と27ヶ月ぶりに増加、イギリスも18ヶ月ぶりに増加、3.7%増などと水準は低いものの回復傾向続く。また主要4業種は電機・精密のみ2.2倍増加も、自動車60.6%減、航空・造船等40.1%減、一般機械も2.8%減と総じて厳しく、ここに来てのコロナ感染拡大で再度落ち込む懸念も。北米は168.8億円(1.5%増)と22ヶ月ぶりに増加、アメリカが6.7%増で23ヶ月ぶりプラス。主要4業種では自動車52.5%増が牽引、一方、航空・造船等50.1%減と厳しさ続く。

 

 

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 内需は270.4億円(13.8%減)で24ヶ月連続減、2ヶ月連続の300億円割れ。なお11月単月での300億円割れは2012年(298.6億円)以来8年ぶり。主要4業種全てで前年割れ。電気・精密が9.7%減と5ヶ月連続で減少、中国とは異なる状況で、半導体製造向け以外は依然厳しい。その他は自動車13.2%減で23ヶ月連続減、一般機械6.6%減で24ヶ月連続減、航空・造船・輸送用機械61.7%減と厳しさ続く。感染再拡大で投資マインドが盛り上がらず、外需と比較し回復に遅れがある。

 

 

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受注残高減少から11月販売は818億円(22.7%減)で6ヶ月連続で受注減少率上回る

 現在、受注低迷に伴い、工作機械業界は受注残高が3月末に危険水域の5000億円を割り込み、11月末では4339億円(前年同月比27.2%減)に減少、11月の販売も前年同期比22.7%減の818.2億円に止まり、6ヶ月連続で受注の減少率を上回った。工業会の販売状況から、3月期決算企業の上期売上で、Q1は減収率37.9%減、Q2も33.6%減となっており、厳しい決算を発表する企業が相次いだ。但し、中国が突出して回復、また自動車は想定よりも回復が早く、特にトヨタの生産、販売が9月にプラスに転じ9月販売は過去最高を記録、10月は生産、販売とも過去最高を記録、トヨタグループとしてもグローバル生産台数が2ヶ月連続増となるなど、これらの恩恵を受けた工作機メーカー、関連メーカーでは大幅な増額修正に。また中国の受注拡大でツガミは売上高550億円(11.5%増)、営利65億円(42.9%増)予想と、期初計画比ほぼ倍増の営利増額となっている。ブラザーも工作機械部門の産業機器売上を20億円増額し330億円(10.8%増)、中国を含むアジアで243億円(45.1%増)を見込む。なお、工作機械各社は自動車向けの想定を厳しくしていた事から、Q2からの自動車販売回復が寄与、総じて期初計画に対して増額修正している企業が多い。工業会では9/30に2020年暦年の工作機械受注予測を8500億円(30.9%減)に減額修正しているが、現状では進捗率が94.4%(内需97.1%、外需92.8%)となっており、8940億円(27.3%減)程度で着地するものとみられる。但し、中国頼みの一本足での回復、国内の伸び悩み、改めてコロナ感染再拡大の不透明感があり、回復が遅れる懸念もある。また下期も受注残高が低水準なため売上の復元は遅れよう。

 

 

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(H.Mirai)