リサイクル産業は既に大きく変貌成長し、国の産業界の底上げを期待される時代を迎えており、それを後押しする適当な言葉がサーキュラーエコノミーなのである。10月30日、第2回サーキュラーエコノミーシンポジウムが東京でアイアールユニバース㈱主催により開催され、経済産業省の政策構想、埼玉県の挑戦などを皮切りに、参加企業の最新事例が発表された。

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 開発事例は自動車、家電、小型家電などのモノのリサイクルから循環経済システムで想定されるサービス産業までGXだのDXだのと言う言葉をちりばめて活発な議論が行われた。世界の先端を走る欧州の事例や制度議論をそっくり受入れて世の中の流れに遅れまいとする姿が明確に見える。

 

循環経済社会問題を支える基本理念の欠如

 

 日本の官学民は何でも適当に国際社会の議論を受入れ、理念など哲学的な議論を避けて社会を変えると言う対処議論だけで対応してきた。適切な理念の議論を避けて経済産業省がサーキュラーエコノミーを掲げた議論を行っている様だ。環境という言葉の社会問題は環境省が仕切ってきたが、未だ温暖化防止法すら議論されていない。

 その様な状況でも、セミナーでは富山の総合リサイクル企業ハリタ金属㈱は地元大学と共同で社会を変える議論や、大学発ベンチャーエバー・スチールの鉄リサイクルでのAI活用、オリックス㈱による環境事業など、社会に挑戦する企業の発表は注目された。

 

 日本のリサイクル産業は長く静脈という言葉で表現されてきた。一方動脈とはあらゆる資源を利用してもの作りを行う産業界を指した言葉であり、はやりでいえば動静脈連携ではあるが、その前に議論すべきは、いまだに廃掃法で規制されている日本のリサイクル市場の改革こそが問題である。と、同じようなことはパネルディスカッションに出席していたテラサイクルのエリック氏も話していた。同じ国でありながら自治体ごとに許認可が必要な国はない、と。

 

 ニッポンはこのような低レベルの対処議論だけで長期展望を持たずに地球問題を抱え、新たな社会制度を発達させるのだろうか。いつまで環境省と経済産業省を結ぶ統一的な土俵を作らずに金のバラマキだけで社会を変えるつもりだろうか。

 

 

(IRUNIVERSE Katagiri)