コロナショックからおおよそ3年が経ちましたが、日本国内においては、未だ行動に制限がかかるだけでなく、国と国の行き来も、まだまだ以前の様な自由な様相は戻る気配がありません。

 

 国内においては、行き来がある程度自由になりつつありますが、まだ海外旅行については時間がかかりそうです。

 

 航空業界については、一昨年の「コロナ元年」よりは、客足が戻ったとはいえ、海外からの渡航については、未だ制限がかかっております。国内の航空会社は、渡航制限が解かれることを、いち早く望んでいると思われますが、なかなかそうはいかないようで、現在も「まん防」の延長で、国内線の減便は続いているようです。そんな中、緊張が高まっていた、ロシアとウクライナで、ロシアによる「ウクライナ侵攻」がついに始まってしまいました。

 

 ようやく日本でも、ワクチン接種が進み、オミクロン株の感染も徐々に減っていた中で、航空業界に更なる試練が訪れております。

 

 

ロシア上空を飛行禁止に

 ロシアによる、ウクライナ侵攻に対し、欧州の各国は、制裁の一環として、ロシアの航空会社が、自国領上空を通過することを禁止し、逆にこの措置に対してロシアは、欧州36か国に対し、ロシア領内の上空の飛行を禁止にしました。(*日本は含まれず)

 

 これにより、日本とドイツ、オランダ、フランス、フィンランドなどの欧州の数か所の都市を結ぶ路線の運航取りやめが相次ぎました。

 

 この様子は、かつて、ソ連時代(1950年)に、ソ連が自国領上空を通過するいわゆする「シベリアルート」の飛行を禁止した時代を彷彿させる出来事です。

 

 欧州各国としては、アジア方面へ飛ばす際に使う、最短ルートであるシベリアルートが使えず、回り道して余計に燃料がかかり、そこまでして欧州の航空会社は、日本などのアジア方面へ航空機を飛ばすメリットが無くなったとも言えます。

 

 航空会社というのは、総じて世界情勢に事業が左右されるのが特徴で、過去に湾岸戦争や9・11同時多発テロなど、その時代の動乱が起きると事業に影響が出てしまいます。

 

 

写真

(全面運航停止を行った、ロシアの「S7航空」。写真はS7航空のA-310:写真Wikipediaより)

 

 

日本の航空会社への影響

 このロシア領内の飛行禁止措置については、日本は除外されており、各報道では、大手2社の行う日本~欧州線については、影響はないとありましたが、欧州各国の日本への発着が無くなるというのは旅客収入という形で影響が出ると思われます。というのは、コードシェアと海外からの日本国内の旅客の取り込みについてです。

 

 日本の大手2社については、JALは「ワンワールド」ANAは「スターアライアンス」という航空連合に加盟しています。

 

 例えば、JALであれば、JALと英国航空が、ANAであればルフトハンザとコードシェアを取っており、例えばイギリスから日本までは、英国航空に乗り、日本に到着した後、東京から大阪に行くのにJALを使うなど、海外のエアラインが止まると、総じて日系2社の旅客事業に影響が出るとも言えます。

 

 そうなると、自然と考えるのは、国内の旅客に注力するという事になりますが、先にも話したように、未だ「オミクロン株」の影響が出ている中、かつてのような旅客数を確保するには時間がかかるように思えます。

 

 大手2社は、この3年間のコロナショックにおいて「非航空事業」の成長を目指しているようです。

 

 一時期ANAは、航空機とグランドスタッフを活用し、空港での結婚式を提供する、いわゆる「ブライダル事業」を行ったことで有名になりました。

 

 始まったばかりの2022年ですが、今年も航空業界にとっては非常に厳しいフライトになりました。

 

 今後、各航空会社の掲げる「非航空事業」がどのようなものか注目されます。

 

 

(文;金剛たけし)