2022年2月6日(金)、「【初心者向け】VRChat企業・自治体ワールド見学体験ツアー」が開催された。

 

 これはオンライン上でのVRコミュニケーションサービス「VRChat」で開催されたイベントであり、2022年1月28日(金)と2月1日(火)と2月4日(金)の計3日間に事前体験会が開催されたものである。

 

 主催は株式会社TAMであり、同社スタッフの案内の元イベントが執り行われた。

 

 今回はイベント全体の内容と日産自動車株式会社の意気込みを取り上げていく。

 

 

 

VRSNS内で語られるメタバースとクリエイションの様子

 


 2月6日の本番では実際にVRChatにログインするところからスタートする。

 

 事前体験会ではオフィスやZoomによるレクチャーからスタートしたが、イベント本番では参加者が会場に入場する操作を行える事が前提となっている。

 

 そのため事前体験会で行われた操作通り、参加するユーザーはイベント会場へとつつがなく入場を行った。

 

 今回会場には講師やスタッフも併せ総勢35名ほどの参加人数となり、またZoomにて当イベントの配信も行われた。

 

 

 

 

 会場では主催者である株式会社TAMの角谷 仁氏から、事前体験会でも行われたメタバースに対する簡便な紹介と当イベントの開会の挨拶が行われた。

 

 また司会進行役としてVRコンテンツに造詣が深い、NPO法人バーチャルライツ公認 VR文化アンバサダーのおきゅたんbot氏が紹介された。

 

 その後講師として、VRChat内で色々なコンテンツを製作している株式会社タナベ代表のタナベ氏(本名:田名部 康介氏)が紹介される。

 

 同氏はVRChat上での創作活動を行う傍ら、最近ではNHKを始めとしたテレビ番組にも出演を果たしている時の人と言える人物である。

 

 スペシャルゲストとして日産自動車株式会社のうがいはるな氏、株式会社往来のぴちきょ氏(本名:東 智美氏)の紹介が続けて行われた。

 

 それぞれ日産自動車株式会社の広報担当スタッフと、メタバースを始めとした仮想空間とVRの情報を纏めた書籍の発行者という立ち位置である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 挨拶が終わり、参加者で記念撮影が行われた後最初に案内されたのは、タナベ氏が現在製作中のコンテンツである。

 

 これは佐賀県武雄市に存在する「森とリスの遊園地 メルヘン村」という遊園地をVR空間上に再現するものである。

 

 現在は外観のみ一部製作中という状態であるものの、タナベ氏個人の手によるものである。

 

 実際にどの様にワールド(世界)が制作され、どういった要素が必要となってくるのかという説明が行われた。

 

 参加者たちからも質問が出るなど、ワールド制作に必要なステップを学び取っていた。

 

 続いて過去に行われたイベントである「楽園祭 2020: 第9回 させぼ文化マンス」内でVRChat会場として用意された渋谷センター商店街と四ヶ町商店街連結会場へと足を運ぶ。

 

 これは両商店街が兄弟商店街という親交を持つ関係である事を発端として、渋谷スクランブル交差点から続く渋谷センター街の一角とさせぼ四ヶ町の四ヶ町商店街が連結する事となったのである。

 

 MIRU.TVの動画を見てもらえれば分かる通り(動画リンク)、実際に両地域がVR空間上にて連結を果たしているのが分かるはずだ。

 

 上記二箇所を回った後に、いよいよ今回のメイン会場である日産自動車株式会社のショールームのあるワールド(場所)へと移動する。

 

 

 

 

 

 

 

日産自動車の目指すものとメタバースの方向性

 

 

 ここは東京都中央区銀座に存在するショールーム「NISSAN CROSSING」をバーチャル空間上に再現したものとなっており、電動自動車「日産 ARIYA(アリア)」が各所に展示されている。

 

 この場所は外観から内装のデータに至るまですべて日産自動車株式会社監修のもと作り上げられた物である。

 

 その為日産アリアなどのモデルデータについては、日産自動車株式会社から提供されている。

 

 内装は2階建てになっており、一階にアリアの展示スペースがあり、2階には大広間とカフェスペースが存在する。

 

 カフェスペース内にはバーチャル空間上で「持つ」事が可能なラテアートが置いてあり、その模様には日産自動車の「日産 LEAF(リーフ)」や日産アリアの絵が描かれている。

 

 このバーチャルショールームは2021年11月4日に公開され、現在7000名以上のユーザーが訪れている。

 

 実際のショールームに訪れようにも敷居が高いと感じるユーザーや、実際に車両のデザインや内装を見てみたいというユーザーから好評の声も聞かれる程である。

 

 

 

 

 日産自動車株式会社の広報担当者であるうがい氏の語る所によれば、このコンテンツを公開するに辺り色々と苦労があったという。

 

 実際に自社の上司にVRChatのコンテンツを体験させたり、他の担当者にコンテンツの映像を見せる等プレゼンテーションを念入りに行ったそうである。

 

 その結果、コンテンツの先進性が認められ制作に至った上に結果的にVRChatを通じて様々な人脈を得る事に成功したと語られた。

 

 また日産自動車株式会社はキャッチコピーである「やっちゃえ、日産」の通り新しい事に挑戦する事を良しとする社風を持っている。

 

 この展示会場についてもただ制作・公開して終了する置物の様な扱いではなく、今後もイベントスペースとして様々な利用方法を模索していくという話であった。

 

 会場参加者もこのコンテンツのクオリティに感化されたのか、主催者が閉会の挨拶をしたものの30分以上参加者同士で交流を行い活発にポジティブな意見を交わしていた。

 

 今回のイベントについて好感触となるユーザーも多く、中には法人で実際にコンテンツを展開してみる前段階として当イベントで雰囲気を掴んだユーザーも居るほどであった。

 

 

 

 

 現在各所にて聞かれる「メタバース」というキーワード。これは今までの時代では実現困難であった市場や交流の機会を提供する新しいフィールドとなる可能性を秘めた物である。

 

 今後企業はVRコミュニケーションサービスを中心とした、オンラインコミュニティに対してコンテンツを提供できるクリエイターを探し回るであろうし、クリエイターも今後こういったコンテンツに携われればその技術を活かせる機会は増えていくだろう。

 

 一過性の投資話や単なるゲームコンテンツという流言飛語や固定観念に囚われる事のない、広がり続ける未知の世界を開拓できる企業や団体が今後のキャスティング・ボートを握るといっても過言ではないだろう。

 

 

 

 

(IRUniverse Ryuji Ichimura)