チリで12月19日、大統領選挙の決選投票が行われ、前哨戦となった11月22日の選挙において上位2位となった右派連合(Frente Social Cristiano)のホセ・アントニオ・カスト氏と、左派連合(Apruebo Dignidad)のガブリエル・ボリッチ氏の2人が次期大統領の座を争い、投票結果は、ボリッチ氏が得票率55.87%の462万671票、カスト氏が44.13%の364万9,647票で、ボリッチ氏が当選を果たした。

 

 次期大統領となるボリッチ氏は、南部マガジャネス州出身の現職の下院議員で、大統領選への立候補が可能な最低年齢の35歳(大統領に就任する2022年3月11日には36歳)と、チリ史上最も若い大統領になる。

 

 同氏は、2019年10月に起こった反政府デモ後に、社会格差の是正を求める国民らの声に耳を傾けるかたちで新憲法草案の着手に至る交渉プロセスを推進した議員のうちの1人でもある。年金改革、単一の健康保険システムの確立、最低賃金の引き上げ、富裕層への課税、大規模鉱山における鉱業ロイヤルティーの増税、環境税の課税など、社会格差の是正に重きを置いた公約を発表している。任期は2022年3月からの4年間となっている。

 

 かねてより銅業界から注目されていたこの選挙だが、次期大統領が先鋭的なポリッチ氏に決まったことは日本の銅製錬業界にとっては複雑な心境であろう。過日の日本鉱業協会の記者会見でもポリッチ氏になった場合に銅精鉱の安定供給は確保されるのかについて懸念を示されていた。

 

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(IRUNIVERSE/MIRUcom)