米国では中古車の価格がインフレ中

 現在、米国では中古車の価格がインフレを起こしており、車を買いたくても買えない状況が発生しています。この背景のあるのが、自動車メーカーの生産停滞と中古車の供給不足、そして需要の増加です。

 

 2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)による経済活動休止に伴い自動車生産が大幅減となりました。さらに、半導体不足などの問題も発生しており、自動車の生産は引き続き抑えられています。

 

 実は、米国では中古車市場が盛況で、その供給元としてレンタカー会社やカーリース会社が大きな役目を果たしていました。しかし、現在新車が手に入らない状況が続いている中で、中古車の供給元であったこれらの会社が、逆に中古車を購入するという逆転が生じています。そのため、中古車の供給が極端に減り、中古車価格が上昇しているのです。

 

 需要に関しても動きがあります。2020年春の新型コロナウイルスのパンデミック当初は、経済の不確実性と自宅待機政策を受けて一時的に買い渋りがありました。しかし、その後需要は復活。さらに、最近では、2021年8月末に発生したハリケーンアイダが深刻な洪水被害をもたらし、約212,000台の車両が巻き込まれました。車社会の米国において車無しで生活することは大都市を除き、ほぼ不可能です。車を失った人々は新たな車両を必死になって探しており、中古車価格の高騰問題がさらに悪化しています。

 

 

中古車価格指数は最高レベルを維持

 

 

グラフ

中古車価格指数

 

 

グラフ

クラス別の車両価格の変化(2021年9月と2020年9月の比較)

(ソース:米国中古車オークション大手「マンハイム(Manheim)」による開示データ
https://publish.manheim.com/content/publish-manheim-com/en/services/consulting/used-vehicle-value-index.html

 

 

 米国の中古車オークション大手マンハイムが開示する中古車価格指数はは2021年9月15日時点で、前月の確定値から3.6%上昇しました。これにより、マンハイム中古車価格指数は201.4になり、1年前の2020年9月から24.9%増加となっています。同指数はコックス・オートモーティブによって算出されており、マンハイムを通じて売却されたほぼすべての全中古車(オートバイや大型トラックなどを除く)について集計したものです。

 

 米国の中古車相場情報の提供しているケリーブルーブックが最近行なった調査によると、車の購入に関心のある人のほぼ半数が、直ぐに車を購入するのを避け、価格が下がるのを待っていることが明らかになりました。これほどまでに米国の中古車価格は消費者にとって厳しい高値となっているのです。

 

 

今後の見込み

 過去約18か月間に渡り、新車の生産台数が制限されていることから、中古車価格の高騰は少なくとも今後2年間は続くだろうという見方があります。なぜなら、自動車メーカーが新車の生産を通常に戻すと、ディーラーが自動車を購入、その後、レンタカー会社やカーリース会社が新車を購入、レンタカーあるいはカーリースとして貸し出したあとに中古車市場に放出するのです。つまり、車体が新車として製造された時期と、それが中古市場に出回るまでの時期には、時差が生じるのです。

 

 

消費者の視点

 今すぐ車が必要というわけでなければ、中古車の価格が落ち着くまで待つこともできるでしょう。そして、お金をかけてでも今持っている車になんとか乗り続ける選択をする人も多くなっています。従来、数千ドル規模の大きな修理が必要となった場合には、新しい車に買い換えるというのがよくあるパターンでした。しかし、状態の良い中古車への買い替えが難しい現状では、修理代金に多額の費用をかけてでも手持ちの車を手放すことができないのです。

 

 また、リース契約で車を保有している場合には、リース完了のタイミングで購入に切り替える、新しい車が今すぐ必要な消費者は、あまり人気のないモデルを探すなど消費者は、供給不足の車をなんとか手に入れようと方法を模索しているのです。

 

 なお、車を売りたい人にとっては好都合な状況とも言えます。従来よりも高値で取引されており、走行距離や年数の長さの割に高値で買い取ってもらえるのです。

 

 実際、筆者自身は2021年の春に古い車を手放しました。2015年に新車で購入した10万マイル超えのハッチバック(日産ノート)でしたが、思った以上の買取価格の提示。それを元手に店頭に在庫で残っていた新車SUVに乗り換えることに成功しました。中古車価格の高騰を逆手に取った形です。

 

 

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Y. Yamamoto

 IRuniverse取材記者、フリーライター、フリーランス通訳/翻訳者(日‐英)

 2015年より米国カンザス州在住。夫と娘二人。趣味は家庭菜園、自然観察、旅行。地域の情報誌が愛読書。

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