米国の合成生物学業界では、遺伝子解析シークエンサーは、Illumina社、Pacific Bioscience社が活躍し、DNA合成装置でTwist Bioscience社とCodex DNA社が、その他分野では、Zymergen社、それにGinkgo社が活躍している。合成生物学の分野では、各社は1種類のテーマに絞った事業を展開しているのが、特徴である。Ginkgo社は多種類のテーマの事業化を実施している点がユニークである。

 

 合成生物学Synthetic Biology分野は、急速にコンピュータによる人工知能を使った自動化製造技術が進展している。マサテューセッツ工科大学MIT出身者が創業した米国のGinkgo Bioworksが今注目されている。Ginkgo Bioworksの当初の創業者4名の3名はバイオロジーの専門家で、残り1名はコンピュータ技術者で、共にMITで学んだドクターであった。

 

 Ginkgo Bioworksのバイオ実験工場は、ロボットが工場を稼働しており、技術者はコンピュータを駆使して自動運転合成バイオ製造工場を運転している。Ginkgo社の現在の顧客は、食糧、難病fight desease、製薬分野で実績を挙げている。同社の創業者の5番目が、Tom Knigntで同氏は元コンピュータ技術者で自ら15万ドルを投資し、MITで現在の合成生物学の技術の設備とソフトを、“タイムシェアリング、操業システム、人工知能、現在のインターネットの前進のネットワークシステム”の自動製造ラボ工場を構築した。

 

 Ginkgo社の自動製造ラボ工場は10万平方フィートで、5億ドルの資金が投下された。2020年には2019年の2倍の80億ドルのベンチャー資金が集まった。2021年には300億ドルの資金が集まるとSnyBio Beta社が予想している。Ginkgo社が注目された最初は、国防省から合成バイオテクノロジー技術が評価され、連邦科学プログラムで1,000万ドルの資金を得た事で、今のGinkgo社が存在する。

 

 同社が最初の製品を製造したのは、2014年であったが、現在は12の顧客向け製品を製造している。この分野では一つの事業分野に専念しているのは、開発製造に至る工程は人が多く関わる点が特徴である。通常は開発製造費用の6割が労務費となっているが、Ginkgo社では自動製造により、労務費は開発製造費用の3割となっており、同社の自動製造の特徴でもあり、高効率が貫かれている。

 

 

ロゴ

 

 

 Ginkgo社は、モデルナの製造支援で大きな貢献をした。エンザイムは細胞を活性化する触媒のような物質で、同種のエンザイムを10万点から有力なエンザイムの検索を行って、5,000個のエンザイムを抽出すると、5,000個のサンプルを更に試験し評価を行っている。Ginkgo社のの高容量で高効率のバイオ合成技術によりモデルナの開発が速まった実績がある。

 

 コロナウイルスによるパンデミックを克服する為に、世界中で大きな投資をバイオロジー分野へ行って新たな製薬技術が発展せざるを得ない。その中で死に至る感染病の対策には時間的な制約を乗り越える必要がある。その意味でGinkgo Bioworks社の今後について、食糧や製薬分野などの活躍も期待したい。

 

参考:The New York Times Sep17,2021

 

 

(IRUNIVERSE TK)