豪州Curtin大学の研究チームは、先日、地球で最も深いダイヤモンドは、地表から400キロメートル以上離れた場所で母なる地球によってリサイクルされた、死んだ植物や動物などの“かつての生物”から構成されているという、興味深い研究結果を発表した。なお、論文は「Nature's Scientific Reports」誌に掲載されており、今後のダイヤモンドの採掘方法に影響を与える可能性もあると考えられているようだ。

 

 天然ダイヤモンドのうち、最も主要なものは、海洋性ダイヤモンド、超深部大陸性ダイヤモンド、リソスフェアダイヤモンドの3種類であるが、本研究は、この3種類の形成と位置を説明するモデルを提供するもの。同大学が8月23日に発表した声明によれば、今回、海洋岩石中で発見されたダイヤモンドと、いわゆる超深度大陸ダイヤモンドと呼ばれるものの両方が、地球のマントル深部でリサイクルされた “有機炭素”という、共通の起源を持つことが判明したとのことである。

 

 ABCニュースが同チームの主任研究者であるLuc Doucet博士の発言として伝えているところによれば、2つの地殻プレートがぶつかり合い降下することで、有機物が地球の奥深くに運ばれる現象があるという。通常ダイヤモンドが形成されるのは、大量の炭素と巨大な圧力が生じたときだが、マントルプルームと呼ばれる、地球の深部マントルからの岩石の吹き出しが、火山の噴火によって、こうした深部のダイヤモンドを地表に運ぶことがあり、これによって最終的に我々人間の元に、宝石としてのダイヤモンドが届くという仕組みのようだ。

 

 声明内で、「今回の研究は、"ゴミを宝へ "という従来の格言に新たな意味を与えてくれるものであり、地球のエンジンが、地表から何百キロも離れた場所で、実際に有機炭素をダイヤモンドに変えていることが発見されたのです」と語るDoucet博士。持続可能な生活において現代では必要不可欠な“リサイクル”だが、今回、母なる自然は何十億年も前から洗練されたリサイクルの方法を示していたことがわかり、驚いたという。

 

 共同研究者のZheng-Xiang Li特別教授は、「3つの主要なタイプのダイヤモンドすべてが、マントルプルーム、プレートテクトニクスによる高温の岩石の吹き出し、地球深部からの超大陸サイクルと関連付けられたのは、今回が初めてのことです」とのコメントを声明に寄せる。同氏は、地球の炭素循環の解明に役立つだけでなく、マントルプルームやスーパープルームの過去の位置の追跡を通じて、地球のダイナミックな歴史の秘密をさらに解明できる可能性があるとした。

 

 ただし、声明によれば、深さ400~600kmの“マントル遷移層”と呼ばれる場所で形成されたダイヤモンドが、リサイクルされた有機炭素のみを利用している理由はまだ解明されていないそうで、さらなる調査が期待されているものと思われる。

 

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(A.Crnokrak)