→「カーボンゼロ時代のアルミニウム生産 #22 気候変動と災害対策、そしてアルミ缶の好調」からの続き

 

 公害問題に取り組むことは、過去も現在も自治体や企業の社会的責任、と認識されがちな中でも、製造業各社は前にも増して、環境に優しく汚染物質削減に取り組む動きを加速しなければならないという動きが見られている。特にアメリカやヨーロッパを中心としたグリーン技術などへの取り組みは、もはや企業株価にも反映するため、結果、企業利益を守るためにも必須の動きとなっている。日本でも、前にもまして注力する必要性に迫られるだろう。

 

 

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 米国環境保護庁(EPA)は、2019年、大気汚染の監視や浄水処理、汚染土壌浄化、健康や環境を守る技術を開発する企業に、25億円もの助成金を21の関連スモールビジネスを行う企業に補助することを発表した。

 

 企業の環境技術の研究開発や、新たな良い技術や商品の開発には、重要でありながら莫大な資金が必要となる。希少価値の高い技術、ある一定の分野に特化したベンチャー企業の技術を活かすという意味では、災害対策などで蓄積された日本企業の取り組みや研究、環境や健康に関わる様々な技術などは今後注目が期待されよう。

 

 また、そこには、新型コロナウィルス拡大後の新行動様式の検討が必要となる。巣籠もり需要によって家飲みが増加し、テイクアウト、デリバリー、自宅での多様な食事スタイルが増える中、多様な新しい行動様式がみられている。

 

 2021年4月、農林水産省発表の食育意識調査結果(調査日:2020年12月3日~23日)においても、新型コロナウイルス感染症拡大による食生活の変化があることが明らかである、とされた。

 

 「自宅で食事を食べる回数」(35.5%)、「自宅で料理を作る回数」(26.5%)」が上位へ上がり、食生活の変化ありといった状況は間違いなく全世代的に起こっている。

 

 日本の第1回目緊急事態宣言時の2020年4月の外食全体の売上は前年比60.4%最大の下げ幅となり、その中で子供や若者は更に個食になることが多くなっている。コンビニ、量販店惣菜売り場などの利用率が上がり、偏食や小食または過食が進んでいる側面もあるという。

 

 そう言った動向を受けて、飲料メーカーとしても、そのような“負の新行動方式”に対応すべく、新商品開発を進めている。アサヒ飲料は、7月27日、乳酸菌入りの清涼飲料水「からだ想いの補水生活」を発売、また、全国の小学校へ熱中症予防冊子を配布した。また、サントリー食品インターナショナルの「天然水スパークリング」シリーズは、7月、8月に前年超える出荷を見込んでいるという(千葉日報2021年7月28日)。

 

 

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出典:サントリーHP「THE STRONG」, アサヒ飲料「ウィルキンソン炭酸」缶

 

 

 「天然水スパークリング」シリーズは、レモンが人気フレーバーとして知られるが、同新商品として、五感に着目した「THE STRONG 天然水スパークリング」を6月に発売し人気となっている。また、強炭酸では、「ウィルキンソン」が根強い人気を誇り、缶はダースでの家庭でのストックが人気で、通販や酒類宅配などなどで人気を博している。

 

 猛暑でのリフレッシュ、家飲みの際、ハイボールなどと割る目的での炭酸水需要に向けて、力を入れたものとなっている。

 

 記録的な猛暑となった今年の夏は特に、熱中症予防喚起が連日報道されており、酷暑渦での飲料缶の特需の状況はあるが、この傾向はコロナ渦の中で今後も継続するとされている。生活スタイル、新行動様式と連動して、年間を通じて進化していくと思われ、飲料缶はあらゆる方向性で消費者を支えていく構造は、今後も続くであろう。

 

出典:

 ・https://www.epa.gov/newsreleases/epa-awards-23-million-funding-21-small-businesses-develop-innovative-environmental

 ・https://www.suntory.co.jp/water/tennensui/strong/

 

 

A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。