半導体不足による新車の供給の減少で、日本のみならず、世界各地で中古車の需要が増大しているとされる。そのような中、財務省貿易統計の2021年6月の確報値が公表された。2021年上半期の日本の中古車輸出台数は増えたのか、減ったのか、見ておきたい。

 

 図1は、2018年1月から2021年6月までの中古車(バス、乗用車、貨物車)輸出台数の月別の推移である。これを見ると、2020年は3月に減少傾向が見え始め、4月に大幅に減少した。これは新型コロナウィルス感染症による都市封鎖などの影響であろう。その後、半年をかけて徐々に回復し、2020年9月には例年の水準に戻った。

 

 しかし、11月になり再び例年を下回る様子が観察された。これはコンテナ不足の影響が指摘される。その後2021年になっても例年を下回る月が続いたが、4月頃になり、ようやく例年通りとなっている。

 

 2021年の1月から6月までの上半期の合計は60.5万台である。当然ながら前年の2020年上半期よりは多いが、2019年(63.5万台)、2018年(67.0万台)よりは少ない。よって、増えているわけではない。国内の中古車登録台数も2019年よりは下回っているが、それは半導体不足による新車の供給遅れとそれに伴う下取り車の確保難などが背景にあるとされる(日刊自動車新聞、2021年7月13日)。それは中古車輸出にも当てはまるのだろう。

 

 

グラフ

図 1 近年の日本の中古車輸出台数の月別推移

出所:財務省貿易統計より筆者作成

 

 

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阿部新(Arata Abe)

 山口大学 国際総合科学部・教授

 2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。

 同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授

 2020年より同大学国際総合科学部・教授