東芝エネルギーシステムズは7月30日、各事業で進めているカーボンニュートラル関連ビジネスをより加速させるため、8月1日付で「カーボンニュートラル営業推進部(CN営業推進部)」を新設することを明らかにした。CN推進部では、社内の各事業の垣根を超えて顧客目線で総合的な提案支援を行っていくとしている。東芝グループでは、今後の注力事業の一つとして「カーボンニュートラル(CN)への貢献」を掲げている。(画像は東芝エネルギーシステムズのニュースリリースから引用)

 

 日本政府の2050年における「カーボンニュートラル実現」目標の宣言などの動きを踏まえ、東芝エネルギーシステムも環境関連ビジネスに注力していく方針だ。同社は「CO2(二酸化炭素)を排出しない/抑制する」、出力変動のある再生可能エネルギーの出力平準化などの「エネルギー調整」、「CO2の回収/活用」といったカーボニュートラルに関するニーズに対応するため、太陽光や風力などの再エネシステムやデジタル技術を用いたエネルギーマネジメントシステム、再エネ由来の水素ソリューション、CO2分離回収設備など、カーボンニュートラル関連の製品・サービスを行っている。従来、それぞれの事業で営業活動を行ってきたが、顧客側のニーズもより幅広いものになっており、このニーズに対応するため、CN営業推進部を立ち上げ、横断的に取り組みを強化する。

 

 新設するCN営業推進部では、カーボンニュートラルや同社のサービスに興味を持つ顧客に対し、重点的に営業活動を行う。また、CN営業推進部は新規事業やデジタル技術を用いたサービスを推進する「DX統括部」傘下に設置し、各事業と連携していくという。

 

 CN営業推進部の立ち上げに先立ち、東芝エネルギーシステムズは7月26日、小売電気事業者向けに太陽光発電システムなどを保有する一般家庭の蓄電池などを制御する「低圧VPPプラットフォーム」のサービス提供を開始した。(写真=サービスモデルのイメージ)。小売電気事業者では、太陽光発電システムのある一般家庭(低圧需要家)において日中の余剰電力を蓄電池に充電し、電力取引市場での価格が高くなる夕方以降の時間帯に放電するなど、適切な制御を行うことによって収益性を改善させるニーズが高まっている。

 

 東芝エネルギーシステムズは、2018年度から経済産業省の公募事業である「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」における技術開発と実証にかかわってきた。この技術を活用した「低圧VPPプラットフォーム」サービスでは、複数の一般家庭に配置された数多くの蓄電池を束ねて、高度な「群制御」を行うことが可能となる。

 

 また、複数のHEMSベンダーのシステムに対応しているため、小売電気事業者に広い選択肢を提供可能であり、今後も対応を充実させていく予定という。さらに、小売電気事業者向けの基本サービスとしてのエネルギーリソース制御だけでなく、環境価値取引や容量市場対応等のオプションサービスを追加することも可能としている。

 

在原次郎

Global Commodity Watcher