今世界の政治で問題となっている新彊ウイグル自治区とはどんな所だろうか。中国の秘境、シルクロードなどのイメージしか無かったが、調べると非常に大きな国で今世界の脱炭素化にも大きく関わっている事も判って来た。
・地質学的には、インドプレートとユーラシアプレートが衝突して出来た比較的新しい地層
・中国の領土の1/6最大の自治区と言う国で、砂漠を擁する盆地と乾燥した草原と大きな山脈、それに山脈で多くの国と国境を接している
・気候は寒い冬は-20℃で、夏は40℃を超える
・世界の太陽光パネルの45%を生産
・中国の石炭・天然ガス・石油の1/5を生産し、ガスは上海までパイプ輸送
・新彊ウイグル自治区の経済の60%は石炭・天然ガス・石油である
・農業では小麦、とうもろこし、トマトなどの他、綿花は中国の84%が生産されている
・鉱業では、塩、ソーダ、ホウ砂、金、翡翠、カリ肥料原料など
・カザフスタンの都市ホルゴスとジェミネイと国境自由貿易圏を形成している
今、米国のバイデン政権は新彊ウイグル自治区と香港を政治問題として世界の国々へ政治メッセージを発信している。
・新彊ウイグル自治区で行われていると各国が問題にしているテーマは、自治区の人達の言語、宗教、出産などあらゆる自由を奪っているだけでなく、住民を強制労働に使い、更に再教育する為として収容所で自由な生活をはく奪していると、2020年に国連に対して世界ウイグル会議が報告している。問題となっている収容所は現在の中国習政権下で建設されたものである。
2021年英国の調査では英国の太陽光パネルの40%は新彊の強制労働に係る企業が生産したと発表した。その他最近では新彊で生産された綿を使用しているアパレル企業なども問題視されている。
習政権とバイデン政権との政治的な軋轢がどの様に解決する方向を見出すのか、未だ不透明感が強いが、今日のメディア各社は、7月25日米シャーマン国務副長官が天津に入ったと報じている。中国と米国は既にバイデン政権の発足後、数度の接触を試みている。また脱炭素問題では中国も米国と協調する姿勢を示しているが、経済分野での紛争問題の決着の道筋は未だ示されていない。しかしおそらく示されることはないだろう。米にとって経済世界一の座を中国に奪われることがなによりも避けるべき事態だからだ。
現実問題として、米国と中国は既に産業面で最大の補完関係にある事は自明である。相互に優位性を活用している現在の状況が米国と中国の覇権争いに発展する先を世界中が最も注目する点である。
本日26日の日経新聞では、福井県立大学の唱新教授が「中国封じ込め、不発の公算大」と実体経済を見る立場から相互依存体制を崩す事は出来ないと明言している。
それにしても中国の最奥地の新彊ウイグル自治区の問題は、余りにも中国経済に大きく関与する自治区である事を知って、相当複雑な国内問題に米国はじめ世界中が関与し始めた事実から米国だけでなく、世界中がこの地域の歴史も含めて現在の民族問題の正確な認識を必要としている。
(参考資料)
・7月24日The Newyork Times「Frustration in Beijing at U.S. accusations」
・7月26日本経済新聞・朝日新聞
(IRUNIVERSE TK)