双日は6月24日、シンガポールを拠点にグラフェンを製造、販売する2D Materials Pte. Ltd.(2DM) に出資したと発表した。双日は今後、2DMとの協業により、次世代技術・新素材分野に本格参入する。出資額は公表していない。(写真は双日のニュースリリースから転載)

 

 グラフェンはナノカーボン材料の一つであり、優れた特性を持つことから「究極のナノ材料」として注目される。グラフェンは炭素原子が網目の様に六角形に結びついてシート状になっているもので、ハチの巣の断面のような構造を持つ。

 

 特性として、極めて薄い・軽い・しなやか・透明な素材であり、ダイヤモンド並みの強度を持ちながらも柔軟に折り曲げることが可能という。加えて、電気伝導性・熱伝導性が高く、シリコンや貴金属の代替としての需要が期待される。

 

 こうした特性を踏まえ、エネルギー貯蔵から塗料・コーティング分野など多くの分野での商業化の可能性を有している。一例として、電子部材やアルミ、プラスチック製品に添加することで、導電性や耐久性を向上させるなど、製品を高機能化する用途が挙げられる。一方で、製造の難度が高く、高価な素材であるため、本格的な商業化には至っておらず、乗り越えるべき課題を抱えているのも事実だ。

 

 2DMはグラフェン研究で世界最先端のひとつであるシンガポール国立大学からスピンアウトしたスタートアップ企業であり、環境負荷の低い溶媒を使用したクリーンな製造プロセスを用いて、高品質なグラフェン製品を製造できる技術を有している。

 

 環境負荷が高い特殊な溶媒を使用してグラフェンを製造する競合企業に比べ、よりシンプルなプロセスによってグラフェンを製造できるため、製造コストの削減につながり、より低価格での販売が実現可能だ。また、ノーベル賞受賞者を技術アドバイザーに抱え、グラフェン業界をけん引する人材との協業体制を構築している。

 

(IRuniverse)