豪州鉱業界の超大物、そして政治家としても活動する億万長者Cliver Palmer氏は、これまでも新型コロナワクチンに関して反対派と呼ぶべき態度を示し問題視されていたが、最新の報道によれば、このワクチンの危険性を吹聴し、摂取しないよう呼びかける手紙を全国の一般家庭に送り続けているという。同氏は、豪医薬品局(TGA)と政府が、“人々に恐怖心を抱かせるため、ミスリードを招く情報を拡散している”と主張しているとのこと。複数の豪州メディアが報じており、実際に手紙を受け取ったという報告も相次いでいるようだ。

 

 

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↑Clive Palmer氏自身のツイッターより、3月の投稿。

 

 

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↑今回、実際に同氏からの手紙が届いたという人の数日前の投稿。

 

 

 手紙の他にも、同氏は最近ラジオ局に同様の趣旨の広告を出すなどしており、こうしたPalmer氏の一連の行動が多数の批判を浴びていることは、言うまでもない。例えば、6月20日のシドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)紙の記事によると、連邦労働党のAndrew Giles議員は、「[……] 彼は、社会的結束や公衆衛生の取り組みを弱めることに自身のお金を使っています。まさに恥ずべきことに他ならず、彼はそれを止めなければ、あるいは、誰かが止めなければいけません」と語っている。

 

 TGAも、Palmer氏が流している、“COVID-19ワクチンの安全性に関して誤ったイメージ”を与えるような、誤解を招く文章に、深刻な懸念を抱いていると述べている。これは具体的には、ワクチン摂取後の死亡者数や重篤な副反応が出た人数を、あたかも全てがワクチンと因果関係があるかのように謳っている点などを指すものと思われる。さらに、TGAの責任者は、Palmer氏に直接手紙も送ったそうで、公人には“事実に基づき”、“誤解を招くような情報を広め健康を損ねるようなことはしない”という責任がある、と説いたということだ。

 

 ちなみに、SNSなどを見る限り、彼の手紙について、“反ワクチン派の戯言”といったように嫌悪感を示す反応が多いように見受けられるが、彼自身は今回の手紙の中で、「(緊急使用としての承認でなく)一般的使用が認められている(他の)ワクチンの使用は支持しているが、このワクチンが人々に使用されることは非常に懸念しています」と述べており、あくまで今回の新型コロナワクチンの普及に反対であるという立場を取っている。

 

 最後になるが、本日、6月22日、同氏は新たな手紙をWebサイト上に公開した(https://www.unitedaustraliaparty.org.au/letter-from-clive-palmer-to-prof-skerritt-tga/?utm_source=miragenews&utm_medium=miragenews&utm_campaign=news)。TGAのSkerritt教授へ、と題されたこの手紙の中で、同氏は、ワクチンの長期的なデータ不足を懸念するとともに、自分たちの主張は全てTGAが報告した事実を引用しており、また、ワクチン摂取後に死亡した人々に関して、こうした死がワクチンによって引き起こされていないことを確認する検死データを是非見たい、と書いている。

 

 新型コロナワクチンに関するPalmer氏の過激な意見、出方をめぐっては、スコット・モリソン首相も、今年3月に「全くの単なる誤報。聞いてはいけません。くだらないものです」と発言したほどであるが、同氏の主張はまだまだ収まりそうにない。Palmer氏と政府の関係のさらなる悪化は避けられないであろう。

 

 

(A.Crnokrak)

 

 

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 豪州シドニー在住。翻訳・執筆のご依頼、シドニー単な通訳が必要な際などには、是非お声がけください→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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