日立製作所は6月16日、電気事業者や自家発電設備を備えるプラント・大規模施設などを持つ顧客を対象に電力系統で発生する問題点や事象をシミュレーションし、対応・予防・保全施策を提案する「電力系統解析サービス」の提供を本日付で開始すると発表した。(概念図はニュースリリースから転載)

 

  このサービスにより、発電・変電・送電・配電・需要家などの電力系統の設備に対して起こり得るリスクを予測することができ、電力の安定供給を支援。結果として、自然現象などに起因するアクシデントに対して強く、また効率的な運用の実現に貢献するとしている。

 

  電力系統は多種多様な設備が複雑に絡み合って構成される大規模なシステムである。電気事業者の送配電設備をはじめ、自家発電設備をプラントや大規模施設内に持つ顧客には、外部からの送配電系統と自社内の発電・受電系統を組み合わせることで、設備の安定稼働を維持する。この組み合わされた電力系統に自然災害や設備運用変更などを起因とした異常な電気現象が発生すると、設備の故障や停電に進展する恐れがある。

 

 また、カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー導入が活発化し、今後ますます電力系統管理が複雑化することが予想されるため、電力設備を安定的かつ効率的に運用するためには、電力系統の事前評価を実施することが重要となる。ところが、事前評価を実施するには、高度な専門知識とノウハウも必要である。特に異常な電気現象を予見するためには、適切な解析ツールを選定し、かつ短時間でシミュレーションモデルを作成し、その結果を評価することが求められる。

 

  こうした課題を受けて、日立はこれまで、太陽光や風力発電による再生可能エネルギーやディーゼル発電などの自家発電の導入時に電力系統の解析モデルを作成し、シミュレーションを実施。それによって電力品質の解析・評価を実施した結果、異常な電気事象を予見・対策し、電力供給の安定化と燃料費の削減など高効率な運用を実現してきた、系統解析の実績から得られた技術やノウハウを「電力系統解析サービス」として体系化した。

 

(IRuniverse)