市場分析会社Fastmarketsが伝えたところによると、コンゴ民主共和国(DCR)政府は、先週水曜、コバルト精鉱及び銅精鉱の輸出の禁止命令を採鉱業者へ通達した。
現地の情報筋によると、これまでコンゴ共和国でコバルトと銅の採鉱を行っている業者3件から、この禁止命令の受領を確認した模様。
現在のところ、コバルト・銅精鉱を積んだトラックはまだ国境を通過できていると伝えられているが、この禁止命令が有効となる正確な日付はわかっていない。
コンゴでは、先週、カナダのIvanhoe Miningが、Kamoa-Kakulaプロジェクトで、銅精鉱の生産を開始したばかりで、銅価格は急上昇していた。同社は、このプロジェクトで、年間380万トンの銅精鉱の製造を見込んでいる。ただ、同社は、今回の禁止措置に関する施設稼働への影響は低いとみている。
市場分析会社Roskillによると、コンゴ民主共和国はこれまでにも、頻繁にコバルト・銅精鉱と鉱石の輸出の禁止を発表し、コバルト市場を脅かしており、今回発表されたものと類似する禁止令は、2007年、2010年、2013年にも発動されているが、政府はその都度禁止措置を覆している。2013年には、禁止決定を破棄した後、コバルト精鉱輸出への課税額を引き上げている。
コンゴ民主共和国は、アフリカ最大の銅鉱山を所有しており、輸出禁止措置によって、政府は国内における鉱石処理と精製を推進する狙いがあるが、国内における精錬能力が低いため、再三の免除措置を発行している。
コンゴ共和国におけるコバルトと銅による収益の国の経済に対する貢献度は非常に高く、Roskillは、禁止措置が長引く可能性は非常に低いと分析している。しかしながら、もし禁止措置が長引けば、コバルト・銅の世界供給に影響が出ることは必須となる。
コンゴでは、先週からNyiragongoの活動が活発になっており、近郊のGoma市では、40万人が避難するという事態が起こっており、政府は、人道的危機に陥る可能性を示唆している。
Sources:
・https://www.mining.com/drc-bans-export-of-cobalt-copper-concentrate-fastmarkets/
・https://www.mining.com/drc-concentrate-export-ban-may-tighten-global-copper-cobalt-supply/
(Y.SCHANZ)