リオティントはこのほど、カナダ・ケベック州ソレルトレーシーにあるリオティント・フェル・エ・チタン(Rio Tinto Fer et Titane, RTFT)の金属工場で、3D印刷用の鉄粉の開発、試験に成功したと発表した。(ロゴはリオティントのHPから引用)

 

 今回開発された水アトマイズ鉄粉は、3D印刷技術の金属部品製造への利用に道を開くとされる。RTFTは様々な等級の3D印刷用の高性能の付加粉末を生産している。

 

 リオティント・アイアン・アンド・チタニウムのマネージング・ディレクター、ステファン・ルブラン氏は次のように述べている。

 

 「50年以上鉄鋼粉末を製造してきたRTFTの工場で、3D印刷用の新世代の鉄粉を開発した。北米最大級の水アトマイズ噴霧装置で生産したこの新しい鉄粉は、成長の著しい3D市場で競争力の高い積層造形用材料となるだろう」。

 

 ソレルトレーシーにあるリオティントのクリティカル・ミネラルズ・アンド・テクノロジー・センターは、世界有数のポンプとバルブのメーカーで、工業用積層造形の先駆的企業であるドイツのKSB SE&Coと共同で、この3D印刷用鉄粉の新素材の開発と性能評価試験を実施してきた。リオティントのソレルトレーシーの施設で使用される業界初の溶銑鋳造設備用など、本格的な工業用部品の製造、試験はすでに実施済みという。

 

 RTFTは、カナダ・ケベック州のノースショア、アーヴル=サン=ピエール近くのラック・ティオ地区で露天掘りのイルメナイト鉱山を操業している。ここで産出される鉱石は同州ソレルトレーシーにあるRTFTの金属工場で高品質の酸化チタン原料、銑鉄、鉄鋼、金属の生産に使用される。同鉱山とその関連施設は1,600人以上を雇用している。

 

 RTFTは、イルメナイトから鉄を除去するプロセスの先駆的企業で、ケベック州で70年以上操業している。近年は顔料製造者向けの酸化チタン含有量の高いスラグを生産するUGS生産工程の開発、マーケティング、調整に力点を置いている。

 

 他方、RTFTのクリティカル・ミネラルズ・アンド・テクノロジー・センターは1967年に設立され、プロセス改善の研究と新製品開発を実施している。同センターは最先端の機器類や、誘導結合プラズマ発光分光分析装置、X線回折装置、原子吸光分析装置、画像分析装置、走査型電子顕微鏡、粉末冶金試験室などの特殊機器類を装備している。

 

(IRuniverse)