PGMのなかでもマイナーな存在のRu(ルテニウム)が爆騰している。20日現在ではJM(Johnson Matthey)価格でオンス当たり670~690ドルと2007年につけた890ドルの最高値に迫ろうとしている。これまでPGMのトップランナーだったロジウムは落ち着きをみせており(といってもまだ28,000ドル以上だが・・・)、いきおいルテニウムの急上昇に個人投資家、PGMフリークの注目が集まっている。

 

 

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 ルテニウムは昨年9月あたりから上がりはじめ、今年1月からはひときわステップアップで踊るような上昇をみせている。そしてあっという間に600ドルも超えて現在に至るのだが、某大手貴金属メーカーのルテニウムの予想高値は500ドルだったが、すでに突破している。

 

 このルテニウムの上げの背景には、元からの供給不足(ロシア、南ア)が続いているなかで、好調な HDD(ハードディスクドライブ) 関連需要や絶対的なベース価格の安さから投機がかった在庫構築の動きが継続。200ドルのときは安い、といえたがここまで上昇してくるとそうも言えないのだが、投機的な在庫積み上げはあるようで、中国筋の積極的な買い上げが影響しているともいわれている。

 

 

JMルテニウム価格の推移(USD/toz)1年

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 メモリーコンピューティング業界の大手企業では、法人顧客向けハードディスクドライブの容量拡張を促進するためにマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)に新しい技術を導入している。この技術はその構造面でルテニウム層に依存している。2007年に爆騰したときも同様にHDD向けでスパイクがかった上昇がみられた。

 

 他方、砂糖を転化して、食品パッケージやペットボトル、ポリエステル繊維に使用される PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の主要原料である MEG(モノエチレングリコール)の前駆物質であるグリコールアルデヒドを製造するために、ルテニウムを触媒として使用することもある。

 

 いずれにしても圧倒的な供給タイト感と投機マネーの沸騰により湧き上がっているルテニウム相場は、今局面で一気にヒストリカルHIGHの1000ドルをつけることになる、と予想する。しかしそれでもおさまるかどうか。。

 

 ここまで相場が上がってくると、当然のことながらルテニウムのリサイクル材も市場に出てくるだろうが、それにしても相場の天井を見極めるまでは誰しもがリサイクル材を出さないだろう。

 

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(IRUNIVERSE YT)