以前MIRUチームで独占インタビューも行った豪州コバルト企業Cobalt Blue Holdingsから、5月17日、NSW州西部Broken Hill地域にパイロットプラントの設置を完了させたとの公式声明が入ってきた。同時に試運転も成功したとのことで、すべての精鉱、浸出液、混合水酸化物の回収回路がテストされた旨が報告されている。複数の混合水酸化物製品(MHP)の試験運転が、過去4週間にわたり、様々な条件の元で行われたそうだ。

 

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 同社は、黄鉄鉱からのコバルト抽出という革新的なプロジェクトを進めている企業で、パイロットプラントの目的は、90トンの鉱石を混合水酸化物の中間製品(MHP)、あるいはバッテリー用の硫酸コバルトに加工することである。今回の試験運転の成功を経て、現在同プラントでは、すべてのユニットオペレーションが稼働中、MHPが生産されているとのこと。5月初旬より、名目2~3トン/日(nameplate 2-3 tonnes per day)の精鉱を生産中であると述べられており、今後6~8週間で最大150kgのこうしたコバルト製品を生産する予定。

 

 なお、出来上がったサンプルは、LG International社、三菱商事、双日株式会社などを含む30社以上のグローバル・パートナーの元へ、間も無く出荷され始める予定であるという。これは2021年第2四半期まで続く。また、依頼されたサンプルの90%以上がMHP用だそうだ。

 

 同社のCEO、Joe Kaderavek氏は、「パイロットプラントからのコバルトサンプルの生産は、COB社(Cobalt Blue社)と株主にとって大変重要なマイルストーンです。商用サンプルの出荷と並行して、対応する商業的な議論が行なわれることを期待しています。戦略的財務アドバイザー(Cutfield Freemen and Co Limited)を最近任命したことと合わせて、これによってBHCP(Broken Hill Cobalt Project)は世界の商業レーダーに位置することになります」とコメントしている。

 

 なお、声明によれば、同社は2020年7月時点での試算で、硫酸コバルトの製造コスト(All In Sustaining Cost (AISC) )がUS$12.13/lbであることを発表していたが、これは資源から販売可能製品までのコバルト回収率を85.5パーセントと想定した場合の数字だそうで、今回のパイロットプラントとそれに続く実証プラントを通して、この回収率を向上できる可能性が詳細に検討されるとのことである。これはつまり、プロジェクトの経済性を大幅に改善できる可能性もあるということだ。

 

 

(A.Crnokrak)

 

 

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 豪州シドニー在住。翻訳・執筆のご依頼、シドニーにて簡単な通訳が必要な際などには、是非お声がけください→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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