川崎重工業は5月18日、英MODUS SUBSEA SERVICES(MODUS)から、世界初の海底パイプライン検査用ロボットアームを搭載した自律型無人潜水機(AUV)「SPICE」(写真=川崎重工が提供)を受注したと発表した。受注額は公表していない。

 

 「SPICE」のコンセプトであるロボットアームを自律制御し、近接検査センサーを搭載した装置をパイプライン上に安定してトラッキングさせ、検査を実施する。また、川重が開発したドッキングステーションとともに運用することで、検査作業効率の向上やコスト低減を実現するとしている。結果として、AUVの運用に必要な洋上船で作業する船員の負荷低減、安全性の向上に寄与するとしている。

 

「SPICE」の特長は以下の通り。 

ドッキングステーションと接続した状態で母船から海中へ投入された後、ドッキングステーションからの離脱、検査対象のパイプライン探索および検査、検査後のドッキングステーションへの回航という運用プロセスを自律で遂行できるため、これまでパイプライン検査ツールとして主流であったROVと比較すると、専任のROVオペレーターや定点保持機能を有する高機能な母船を必要としない。
 
ロボットアームの先端には近接検査センサーを備え付けた検査ツールユニットを搭載。パイプライン検査時はロボットアームを自律制御することで、検査ツールユニットをパイプライン上に安定してトラッキングさせ、近接検査を効率的に実施する。
 
海底パイプラインを自動で認識・追跡する。パイプライン上に障害物があっても、自動で回避した上で、それ以降の検査作業を継続する。これにより、AUVの運用を途中で中断することなく、継続した運用が可能となる。
 
海中でドッキングステーションに接続することで、バッテリーの充電や収集した検査データを母船へ転送する。また、ドッキングした状態で母船から投入・揚収を行うことできるため、安全で効率的な運用を実現できる。

 

 MODUSは「SPICE」2機の購入を計画する。今回は1機目の受注となる。年内にMODUSに引き渡したあと、北海をはじめとする世界の海底パイプライン敷設海域での運用に投入される予定としている。

 

(IRuniverse)