だいたいにおいて日本政府は計画性がない。昔から。あらゆることにおいて。

 

 このレアアースについても2010年に尖閣ショックで相場が急騰したときは国を挙げてのレアアースネガティブキャンペーンを張り、脱中国をはかるために中国以外での供給、リサイクルからの供給と大盤振る舞いで予算(税金)がばらまかれたが、現在どうなっているかというと、リサイクル供給はほぼゼロ。レアアースの輸入もマレーシア、フランスと若干増えはしたがそれでも中国依存は変わらない。熱しやすく冷めやすいため、また経産省の担当も2年で変わるため、一瞬は本気でもサステナブルではない。ゆえに以下のように産経が報じていても、その具体化、持続性は甚だ疑問。無駄に税金を使わないように釘をさしておくことのほうが大事と心得る。

 

 先週、産経新聞が報じたところによると、スマートフォンや次世代自動車の製造に欠かせない希少金属のレアアース(希土類)のサプライチェーン(供給網)強化へ、政府が国内精錬所の整備に取り組むことが13日、分かった。レアアースの原料だけでなく、精錬所も中国に集中している現状は、日本の経済安全保障を脅かすと判断した。中国依存を避け、オーストラリアなどから調達する原料を日本国内で精錬できるようにする。企業への支援策などをまとめ今後、予算規模を詰める。

 

 日本国内で利用するレアアースは、中国からの輸入が約6割に上る。日本政府は、オーストラリアの鉱山と提携するなど、調達先の分散化を進めてきた。ただ、豪州産原料は、人件費が安く施設用地も豊富なマレーシアやベトナムの複数の精錬工程を経て、ようやく日本の金属メーカーに渡り、磁石として製品化されているのが実態だ。

 

 国内にも精錬能力を持つ企業が数社あるが、いずれも大規模ではない。このため、精錬工場の規模の拡大や参入社の増加などを支援する。レアアースのリサイクル需要にも対応させる。

 

→前述したようにレアアースのリサイクルはやろと思えば国内でもできるが、大手磁石メーカーは海外で行っている。また、国内で唯一残っている設備も先々存続できるかどうか怪しい。

 

→(関連記事)レアアース市場近況2021特別編 日立金属の最終的な去就が日本の希土類文化にも影響?

 

 レアアースは軍事のハイテク化にも欠かせない「戦略物資」となっている。世界の最大供給国である中国は、米国を念頭に今年1月、レアアースの採掘や精錬分離から製品流通に至る供給網の統制を強化する「管理条例」の草案を発表。昨年12月に施行した国家安全に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する「輸出管理法」でレアアースが対象になる可能性もある。

 

 環境規制が強まる中、日本企業にとっては、次世代自動車用に欠かせないレアアース磁石の原料である「ネオジム」や「ジスプロシウム」をはじめ、自動車用排ガス触媒に使う「セリウム」などの確保がさらに重要になる。

 

 政府は、環境や消防法など保安規制による精錬工場増強の制約なども省庁横断的に検討し、レアアースの安定供給や低コスト化を図りたい考えだ。

 

 と報じているが、これについてベテランのレアアース業界関係者に聞くと

 

「政府が、というと何かにつけ縦割りでアクションは起きないでしょう。

 経産省はその気があるかも知れないが、資源エネルギー庁鉱物資源課では工場建設指導は無理で、溶媒抽出の溶媒使用許可量拡大は消防庁。窒素、ボロン排出規制は環境庁。日本国内でのレアアース需要も80年代ならいざ知らず、いまはかなり縮小している。ビジネスの規模が小さすぎて、大手では事業にならず、中小企業では資金と技術がない。できるとは思えない。既存インフラを守ることに力を入れるべきだ」という。まこと、その通りだと思う。

 

 

(IRUNIVERSE YT)