2018年から宮城県で低炭素水素サプライチェーン構築に向けた実証を実施してきた、日立製作所、丸紅、みやぎ生活協同組合、宮城県富谷市は4月28日、停電時でも発電を可能とする水素混焼発電機を追加で設置し、本格運用を開始したと発表した。(写真は追加した水素混焼発電機の外観)

 

 実証では、みやぎ生協の物流センターの太陽光発電システムで発電した電力を用い、水電解装置でつくられた水素を水素吸蔵合金カセットに吸収させ、みやぎ生協の既存物流ネットワークを利用して各生協店舗などに配送し、純水素型燃料電池により電気や熱として利活用してきた。3年間の成果として家庭向け利用で目標とした年間0.8トン/軒の二酸化炭素(CO2)削減が実証され、全体システムの最適化のデータも取得できたという。

 

 今回の追加実証は、これまで以上に水素の利活用を図ることを目的としている。追加した水素混焼発電機は、水素とSVO(廃食油)や軽油などを可変な割合で混合し、ディーゼルエンジン発電機で発電することで、BCP(事業継続計画)対応を強化する。みやぎ生協の店舗惣菜部門から生じるSVOを使い、水素と混焼させる先進的な試みで、今後設備の運用・実証を行い、成果を2021年度末までにまとめる予定だ。

 

  水素混焼発電機の設置することで広域災害の発生による系統電力の停電時であっても、貯蔵してある水素とSVOで発電が可能となる。その電力で水電解装置と補機を再起動させた後に、太陽光発電システムからの電力が利用できる場合には継続して水素製造が可能となり、みやぎ生協による水素吸蔵合金カセットでの配送も継続できる。

 

 また、水素混焼発電機で用いる水素は燃料電池に必要な水素純度が要らないこと、水素がなくても重油や軽油だけでも発電できること、水素の混焼率を上げると発電効率が向上すること、さらにSVO利用により廃液の有効活用の実現と、SVO割合分は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で系統接続が可能なことなど、多くの利点が見込まれるとしている。 

 

(IRuniverse)