世界におけるEV用LiBバッテリー生産分野でいま、ギガファクトリーが次々に立ち上がっている。欧州では数年前から政策的な研究支援体制が立ち上がり、スタートアップ企業の支援を行ってきた。また、欧州で販売する自動車メーカには一定割合の電気自動車(EV)販売が義務付けられており、EV生産は中国を上回る規模に急速に成長してきた。

 

 日本のこれまでのバッテリー生産体制は大幅な見直しが迫られている。特にリチウムイオン電池では、パナソニックが主導的な生産をリードしてきたが、既にこの分野は中国と韓国に追い抜かれただけでなく、米国でもギガプラントを主導するテスラが米国や中国でも生産活動を拡大し、更に欧州でも北欧のスタートアップ企業や東欧でも既にギガプラントの生産が開始しており、世界中のLiB生産が世界規模で同時に立ち上がっている。

 

 こうした状況下、遅ればせながらバッテリー生産に関する日系企業の競争力強化に向けて、電池メーカーや自動車メーカーで構成する新団体「電池サプライチェーン協議会(BASC)」が今年4月1日に立ち上がり、参加社は発足時の30社から既に55社へ拡大したもようである。日本政府に支援を要望する具体的な内容が見えてきた。以下の通りである。

 

国内市場規模を500万台の民生用自動車の半分250万台を生産する事をターゲットに設定

 

250万台のLiB生産に必要な、ニッケル、コバルト、リチウムなどレアメタルの資源確保への支援

 

250万台のEV生産に必要な投資規模を約4兆円と試算し、政府の支援を要望。電池サプライチェーンの国際標準化や、リサイクル体制の構築を含めた循環型の電池エコシステムなどを構築する支援

 

 BASC協議会の会長には住友金属鉱山で電池材料事業本部長を務める阿部功氏が就任する。会員にはホンダやパナソニック、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ、出光興産、三菱ケミカルなど約30社が参画して発足したが、その後、トヨタが出資するバッテリー生産企業も参加したようだ。

 

(IRuniverse TK)