潜在力のある水素ですが、水素を製造しようという企業の姿がよく見えません。Jパワーだけで水素社会が出来るとは思えません。可能性のありそうな企業をさらに探索したいと思います。筆者が勝手に描いた水素社会はこんなイメージです。(写真はイメージ。東京ビッグサイトで撮影)

 

①いまのところ、水素がないと困りそうな業界は見当たりませんが、自動車が仮に燃料電池車で動きそうになると、エネルギーに関与している石油業界や電力会社などは需要が期待できますので、生産を開始できる準備が見込まれそうです。特に石油精製所を運営している企業は即、生産可能と思われます。

 

②地方で分散型の生産も自動車の需要に合わせる必要があります。その点では鉄鋼業界の立地にも貢献出来そうです。コークス炉ガス、高炉ガスなども水素生産が可能と思われます。

 

化学産業で食塩電解事業を行っているメーカーも参入が期待できます。

 

④地方ではバイオマス発電が期待できます。北海道、東北、中部など寒冷な場所など熱供給でもバイマス発電は貢献が可能です。但し熱供給は住宅が集合している公営住宅などは熱利用の需要が大きいと思われます。

 

ビール会社の事例から、広く発酵技術を有する企業は自家発電と熱供給も可能なはずです。ビール製造企業も全国にありますし、ビールだけでなく水素生産も可能と思われます。豆腐屋さんも組合をつくれば、発電業者にもなりそうです。

 

⑥電力を多く使用する業界では、グリーンエネルギーを生産するか優先購入の競争となります。アルミニウムに次いで電力を多消費する業界は亜鉛製錬業です。国内の水力発電所の電気も奪い合いとなります。亜鉛製錬所の様な電力多消費業は、グリーンエネルギーを使用するか否かで国際競争となる可能性が高いです。

 

⑦高炉に次いでセメント業界も大きな課題を抱えることとなります。新たな動きを注視したいです。

 

化学メーカーは天然ガスから水素を生産する技術を保有しており、石油精製に次いで有力な業界となります。

 

電力を売買する市場も立ち上がります。水素の生産だけでなく、水素の販売市場も立ち上がるでしょう。

 

地方公共団体は、ごみを焼却している場合ではありません。新たなごみから燃料ガスを取り出す新しい設備が必要となります。バイオガスの生産者になる可能性も十分にあります。

 

 世界中の生産プロセスがグリーンエネルギーの活用を軸に大きな変革が行われることは間違いありません。生産工程の前に新たなエネルギー資源の確保と新たな発電方式大きな投資の対象となります。欧州は既にアジアよりも早くその体制を敷き始めました。

 

 その流れがEV用バッテリー生産への投資がラッシュしていることからも想像できます。エネルギー産業のグリーン化に目覚めない企業経営者は、この数年間で消えるでしょう。経営者だけではありません。あらゆる分野のリーダーは新たな水素社会を今後30年間どう引っ張っていくのかが問われるはずです。

 

 これからの水素社会では、いかにクリーンな水素を低コストで生産できるかが問われます。各社の担当者は自身が経営者であれば、明日から何をすべきかを考えていただきたいと思います。


 

(IRUNIVERSE TK)