南アフリカ国営電力会社のESCOM(The Electricity Supply Commission)による電気料金の引き上げを巡り、国民の不満が募っている。現地からの報道によると、ESKOMがこのほど、15%の電気料金値上げに踏み切ったことで、国民生活がさらに困窮するとみられ、暴動に発展するとの懸念が広がっているようだ。(写真は南アのソウェト地区、Yahoo画像から引用)

 

 ESKOMはホワイトマイノリティ規則のもと、鉱山部門にサービスを提供するのを目的として1923年に設立された南ア国営の電力会社であり、発電設備容量で世界トップクラスにある。南ア経済の発展を支えてきたが、2000年以降の急速な経済成長にともない、旺盛な需要に電力供給が追い付かなくなり、2007年以降は停電がたびたび発生するなど、国民経済の足かせとなっている。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、南アフリカ経済にさらなる打撃を与えている。こうした事態を打開するためか、南ア政府は電力料金を一気に15%引き上げた。

 

 新型コロナウイルスからの救済目的で、南ア政府は国民に対し支援金350ランド(約2,600円)を支給した。首都ヨハネスブルグ南西郊外に位置するソウェト地区に住むある活動家は「支援金支出で減少した財源をESKOMの電気料金引き上げ分で穴埋めしようとの意図がみえみえだ」と主張。政府への不信感が増幅するばかりだ。

 

 失業者が日ごとに増加するなか、国民の南ア政府に対する不満は爆発寸前だ。ESKOMの電気料金引き上げをきっかけに、不満分子が暴徒化するとの懸念が現実味を帯びてきた。

 

 

(IRuiverse)