ドイツ南部の4300人の村でバイオマス発電300万KWhと風力発電5基で1500万KWhの発電をおこなっている事例が有りました。村の人口で消費した残りは売電しているそうです。発電量1800万KWhの1386KWh(77%)が村で消費され414KWh(23%)が売電されております。

 

 実際にバイオマス発電しているケースでは、狂牛病で豚と牛を牧畜していた農家が狂牛病で、牧畜が出来なくなり、バイオマス発電を始めたケースです。耕作地は80ha(自分の保有は20ha)に牧草、飼料用トウモロコシ、他の農家の堆肥などを原料にして10トンの地下サイロで3ヶ月間発酵し、発生したメタンガスを1000立方メートルの地下ホルダーに貯め、ガスを精製して年間100万KWh発電し、廃熱は周辺の民家へ温水を供給し、更に学校用にも温水を供給し14年間が経過したケースです。

 

 総投資額は、当初70万€(USD77万)、学校用の温水供給に25万€(USD27.5万)、合計95万€(USD104.5万)の投資で、借入金利は通常7%を5%の優遇金利、売電は、通常10セントだが優遇制度で7セントのプレミアムがアップし(7セントの優遇は固定ではない)、17セント/KWhで電力会社へ販売している。販売先の電力卸会社は24セント/KWhで消費者へ販売している。(電力卸会社の荒利益率が3割と高い)

 

 以上の情報から、筆者は勝手にバイオマス事業の事業性を計算してみた。

 

  収入:売電収入 1,000,000KWh/a*0.17c/KWh=170,000€*130\/€=\22,100,000/a

      熱水販売収入 (\3,000*14世帯+\30,000)*12ヶ月=\864,000/a

      収入合計  \22,964,000/a

  支出:借入返済 950,000€*130\/€=\123,500,000

                 \123,500,000*1.0520  *1/2=\163,841,000

 \163,841,000/20years=\8,192,050/a

      設備補修費 投資額の3% \123,500,000*0.03=3,705,000

      償却費   \123,500,000*90%/20years=\5,557,500

      支出合計  \17,454,550

 

  水道代、労務費その他を除いた事業粗利益 \5,509,450 粗利益率 24.0%

 

 

   以上から、労務費を外部へ支払う余裕はないが、キャッシュフロー上では、償却費\5,557,500+粗利5,509,450の合計\11,066,950となり、家族経営で資金回転上では事業は廻ると思われる。

 

 2012年当時のバイオマス発電では、農家の発電者が\22.10/KWhで卸売電力会社へ売った電力を、消費者は\31.20/KWhで購入していた。今後の日本のバイオマス発電事業を検討している諸兄には参考となろう。

 

 ちなみに、我が家(3人家族)の数年間の電気代から買電単価を計算してみた。最低\25.45-最高\30.30/KWh,平均\27.54/KWhであった。もし\22.10/KWhでバイオマス発電が出来るなら、日本では我先に買電したいと消費者は申し込むであろう。

 

 また、我が家のガス使用量も数年間分を調べてみた。都市ガスを最低39㎥―最高55㎥/月、平均44.6㎥/月、\7,011/月であった。ドイツの熱供給は重油やガスの単価に連動して決められ、その価格より10-20%ディスカウントして決めているそうです。ドイツは寒い国であり、今回の試算では1所帯で3千円/月と想定したが、熱水収入は上記試算の2倍程度まで収入増となる可能性もある。

 

 その場合、収入は\23,828,000となり、事業粗利益は\6,373,450となり、水道代、労務費等を除く粗利益率は26.7%あまで改善する。これらの解析でバイオマス発電は熱供給収入が期待できる立地が有利であると判断される。我が国では、北海道や東北に風力発電が集中しており、その地区はバイマス発電でも有利な場所であると思われる。但し、ドイツの事例は耕作地が日本に比べてかなり広い点が気になります。それでも北海道や東北、中国、九州など使われていない耕作地を活用した電力ビジネスの可能性は、以前に比べて可能性は相当向上している可能性があります。その理由は政府が積極的な後押しを推進すると思われるからです。

 

 読者の皆様、是非カーボン・ニュートラルの時代に身近なテーマで、ご自宅の電力、ガス、ガソリン、灯油などの使用量と節約対策、災害時のエネルギーの備えなどから一緒に考えてみませんか!

 

 

(IRUNIVERSE TK)