仏ミシュラン社は、2050年までにタイヤを100パーセント持続可能なものにするという計画を立てており、これまで以上に環境に配慮した様々な取り組みを行っている。例えば今年2月には、スウェーデンEnviro社とのジョイントベンチャー事業として、アースムーバータイヤ(earthmover tyres)から原材料を抽出する初のタイヤリサイクル工場の建設が発表されたばかりだ。

 

 この工場の建設場所には、チリのAntofagasta地域が計画されており、現在チリ国内で埋め立て地へ送られているタイヤの60パーセント分にもなる27,000トン分のアースムーバータイヤがリサイクル可能になるという。なお、工場の建設は今年中の開始が予定されており、2023 年に生産開始予定。

 

 工場では具体的に、使用済みタイヤからカーボンブラック、熱分解油、鉄、ガス、その他の高品質な再利用可能な新素材を回収するEnviro社の特許リサイクル技術により、再生或いはリサイクルされた材料の90パーセントが、新しいタイヤをはじめ、コンベヤベルト、防振製品などのリサイクルゴムベース製品に生まれ変わるという。そして残りの10パーセントは、工場のエネルギー源として使用される。

 

 ミシュラン社側は、このリサイクルプラントを通じてチリの鉱山顧客との新たな契約の創出を目指していることを明らかにしており、ビジネス機会とリサイクルにおける解決策を同時に提示できる、顧客とミシュラン社の双方にとって画期的な計画であるとの見解を述べている。

 

 また、ミシュラン社の公式HPによれば、タイヤは見かけより複雑で200以上の部品(材料)から構成されているハイテク製品であるとのこと。性能と有効性を最大限に高めながら、タイヤにできる限り少ない材料を使用するという挑戦をこれから行っていくとのことであるが、いずれにせよ多くの材料が必要なことには変わりがなく、同社にとってはタイヤを構成するすべての部品が持続可能であることを保証することは非常に重要である。世界中に7つの研究開発センターを備え、350 以上の専門分野に取り組んでいる同社は、自社タイヤを100パーセント持続可能なものにすることは、野心的ではあるものの、現実的な目標であるとしている。

 

 

(A.Crnokrak)

 

 

*****************************

 豪州シドニー在住。翻訳・執筆のご依頼、シドニーにて簡単な通訳が必要な際などには、是非お声がけください→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

*****************************