丸紅は3月15日、英国内で電気自動車(EV)の車載蓄電池を利用した建物向け、電力系統向けサービスの実証実験を開始すると発表した。EVの車載蓄電池に太陽光発電などの分散型電源から余剰となった電力を蓄電し、ビルなどの建物に最適なタイミングで電力を供給するサービス(Vehicle to Building)、電力系統向けに周波数制御や需給バランスの調整を行うサービス(Vehicle to Grid)の商業化検討を行う。実験期間は今年3月~2022年2月(1年間)を予定する。(画像はニュースリリースから転載)

 

 英国政府は2019年6月、国全体における温室効果ガス(GHG)排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を法制化し、低炭素社会の実現に向けた政策立案を進めている。電力業界では、従来の大規模発電所で発電する電力を需要家が消費する片方向の供給構造から需要家自身が再生可能エネルギー発電設備を保有し発電する電力を自己消費するとともに、余剰時に売電・不足時に買電する双方向の供給構造への変化が表れている。

 

 また、洋上風力発電など発電量が天候などの自然条件により変動する大規模再生可能エネルギーの導入が拡大していることから、電力需給調整による電力系統安定化のニーズが高まっている。自動車業界においてもガソリン・ディーゼル車の新車販売を2030年から禁止する方針が発表され、EVの更なる普及が予想されるなか、今後EVの販売時にはEVを利用した住宅、ビル、事務所などへの電力供給・エネルギーマネジメントサービスといった「ワンストップ・ソリューション」の提供ニーズが高まることが予想される。

 

 このような状況下、丸紅はこのほど、丸紅子会社で電力小売事業を行うSmartestEnergy Limited、EVをはじめとした自動車販売・サービスを行うMarubeni Auto Investment (UK) Limitedを中心に、英国のエネルギー関連サービス企業であるOrigami Energy Limited、Grid Edge Limited、Virta Limitedを協力パートナーとして、実証実験を行い、商業化の検討を目指すとしている。

 

(IRuniverse)