スイス本社の黒鉛企業、イメリスGCC(IMERRYS Graphite & Carbon)は1908年創業で100年以上の歴史をもっている。当初の社名はOfficinedelGottardo。1924年にLONZALtdに買収され、その後1994年にまた買収劇があり、そこから社名はイメリスとなる。社名は変わったものの、一貫して黒鉛の生産に携わってきた。

 

 そのイメリス社の日本法人、イメリス・ジーシー・ジャパン㈱R&Dセンター守岡宏之R&Dセンター長に先週ビッグサイトで開催されていた二次電池展にて話を聞いた。

 

 

1.IGC会社:本社のあるBodioでスイスで100年前からスイスの水力発電の電気で合成黒鉛を製造して来た。

 Bodioでは、①合成黒鉛の製造と精製の他、②水ベースの分散材、③天然黒鉛とコークスの精製、シリコンカーバイトの製造・精製を行っている。

 工場はスイス以外にはベルギーWillebroekに製造拠点があり導電性カーボンブラックの製造・精製、日本では北九州に製造拠点と川崎に製造拠点がある。

 研究開発拠点は、スイスBironico、フランスToulouse、川崎の3拠点がある。

 

 

地図

 

 

2.生産活動:スイス、ベルギー*は合成黒鉛、カーボンブラックを製造し、北九州では、天然黒鉛と合成黒鉛を原料として表面処理の生産活動である。北九州の天然黒鉛は中国産を使用している。特定の中国産黒鉛を輸入している訳ではない。

(付記*:ベルギーはカーボンブラックの生産と思われる)

 

3.LiB用の高純度製品は2製品で、C-NEGY TIMICA Carbon BlackとC-NERGY TIMICAL Graphiteが主力製品である。

 → https://www.imerys-graphite-and-carbon.com/products/

 

4.黒鉛鉱山:カナダでは黒鉛鉱山を2ヵ所で生産している(カナダ産黒鉛は一般の産業用、ブレーキ用や粉末冶金用と思われる)(出典:IMERRYS Graphite & Carbon社HP)

 

5.2018年の売上の17%が新製品分野であった。バッテリー技術、ポリマー、燃料電池、カーボンブラシなどの関連特許は49特許を保有している。(出典:IMERRYS Graphite & Carbon社HP)

 

6.製品:リチウムイオンバッテリー、アルカリバッテリー、鉛バッテリー(lead acid batteries)、燃料電池、導電ポリマー・プラスチック・ゴム、カーボンブラシ等向けの、高純度・合成黒鉛・天然黒鉛の粉状物、導電カーボンブラック、水溶液ベースの分散物(water based dispersion)、シリコンカーバイドなどの製品(出典:IMERRYS Graphite & Carbon社HP)

 

 

表

 

 

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 イメリス社の黒鉛がとりわけ先進国の、環境重視の電池メーカーに歓迎されているのは。なによりも黒鉛生産に使用するエネルギーを100%水力発電で賄っている点である。LCAカーボンフットプリントからみればCO2発生がきわめて抑制される製造プロセスであるため、それだけでグリーンポイント(なるものはないが)は高い、といえる。これは同じく欧州はノルウェーのエルケム社も水力発電エネルギーを用いているため、欧州の新たな電池規制法は欧州企業にとって有利なルールになっている。

 

→(関連記事)欧州からの風#189:規制編 「新電池規制法案、カーボンフットフットプリント措置への修正提案」

 

 コスト的に優位な中国製に比べてややお高い欧州産黒鉛ではあるが

 「SDGs、脱炭素時代だからこそイメリスの黒鉛が選ばれる、と信じている」とイメリスGCjapanの守岡氏は話していた。

 

 

(IRUNIVERSE TK&YT)