2021年2月17日、豪州巨大コングロマリット企業Wesfarmersは、チリのSociedad Quimica y Minera de Chile S.A.(SQM)社と共同で、豪WA州Mt Hollandリチウムプロジェクトへの最終投資決定を承認し、初期投資を投入したことを発表した。

 

 このプロジェクトは、Mt Hollandでの露天掘りリチウム鉱山と加工工場、そしてWA州Kwinanaでの精製所開発を予定しており、Wesfarmers社の声明によれば、全額の投資は、2022会計年度初頭に見込まれているKwinana精製所の環境認可取得後に予定されているとのことである。同プロジェクトへのWesfarmers社の資本支出合計は約 9 億 5,000 万ドルで、SMQ側の投資を含めると、計14 億米ドル(18 億豪ドル)のプロジェクトになると報道されている。

 

 また、この最終投資決定は昨年から延期されていたものだそうで、延期の間に、WesfarmersとSQMの両社が折半出資している合弁会社Covalent Lithium社は、最終実行可能性調査の改訂版(UDFS)を完了させている。プロジェクトのエンジニアリング設計、資本および操業コストに、より明確な正確性をもたらしたことに加え、バッテリーグレードの水酸化リチウムの生産能力を 45,000 トン/年から年間約 50,000 トン/年に増強できるようになったとのことである。

 

 環境許可を取得したのち、鉱山、精鉱機、精製所の建設は2022年度前半に開始されることが予定されており、バッテリーグレードの水酸化リチウムの初生産は 2024 年後半に予定されている。また、将来的には、Mt Hollandの採掘および精製生産能力の拡張も検討されているとのこと。

 

 Wesfarmers社のマネージング・ディレクターRob Scott氏は、大きな期待を寄せ、「このプロジェクトは、同社の化学・エネルギー・肥料部門が持つ化学品加工の専門知識と、温室効果ガス排出削減への世界的な取り組みに大きく貢献するEV用電池材料の世界的に拡大を続ける需要を支える、WA州特有の立地を生かしたものです。主要バッテリーメーカーとの協議が進展していることを、バッテリーグレードかつ持続可能な供給源からの水酸化リチウムの前向きな見通しを反映しているとして、嬉しく思っています」とコメントしている。

 

 SQM社のCEO、Ricardo Ramos氏も、この共同計画の重要性を高く評価し、また同時に、今後のリチウム市場の見通しにも自信を持ったままであると語っている。オーストラリアン・マイニング紙の2月18日の記事には、リチウム産業は長期的に20パーセント程度の年成長率で移行し、2025年までに80万トンから100万トンに達するであろうとのRamos氏の予測も紹介されている。

 

(A.Crnokrak)

 

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豪州シドニー在住。翻訳・執筆のご依頼、シドニーにて簡単な通訳が必要な際などには、是非お声がけください→MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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