カーボンゼロ時代のアルミニウム生産Vol.1」からの続き

 

 飲料缶、自動車、電車や航空機、住宅、宇宙開発などにも使われるアルミニウムは軽量かつ安定性が高く、移動と運搬の燃料効率が高いこと、そしてリサイクルがほぼ完璧に容易に行うことができると言った優れた特長から、環境に優しい素材で知られ、多くの産業で重宝されている。

 

 しかし一方で、製造の際の電力が莫大となることからCO2を多く排出する金属でもある。現在は、ほとんどの国々やアルミ精錬企業では、アルミニウム製造は石炭発電で行われており、世界のアルミ製造時のCO2排出量は総排出量の約4%を占めると言われている。

 

 しかし、この様な状況の中で、化石燃料などに頼らないアルミニウム製造を行い、低炭素化に取り組んでいる企業がますます注目されてきている。主な企業は、カナダでの英豪資源開発グループ企業Rio Tinto社、ロシアの最大手Rusal社、ノルウェーのNorsk Hydro社であり、水力発電による電力によってアルミ製造を行っている。地球環境への悪影響を減らし、いわゆるグリーンアルミによってCO2排出量を削減し、サスティナブルな企業体制を構築しているのである。

 

 

表:低炭素化に取り組む主な企業のアルミニウム商品名例と概要

表

※e.g.maximum 4.0 kg CO2-equivalents per 1.0 kg (HydroHP)

 

 

 表の中で、グリーンアルミのひとつとして、ノルウェーのHydro社は、取り組みとして下記の特設ホームページを開設している:

  CIRCAL 75R:https://www.hydro.com/circal

  REDUXA:https://www.hydro.com/en/about-hydro/stories-by-hydro/meet-your-sustainability-goals-with-low-carbon-aluminium/

 

 

写真

Hydra HP

 

 

 特にHydro REDUXAにいたっては、水力発電の象徴である大量の水が流れる画像が掲載されており、環境配慮の取り組みの強化とアピールが伺える。同社のアルミニウム製品の押出インゴット、鋳造合金、シートインゴット、線材は、アルミニウム1.0kgあたり最大4.0kgのCO2排出量に留まり、世界の平均の4分の1であるという。同社のアルミニウム工場では水力発電、風力発電、超効率電解技術など100%再生可能エネルギーを使用し、これを実現しているのである。

 

 

写真

Jean-Marc Moulin, Head of Sustainability Hydro / Elysis

 

 

 そして上記の表の中で、0を示す商品がある。それはRio Tinto社のElysisである。環境時代に生きるメタルのひとつであることを長い歴史の中で醸成し、技術開発を行い、企業風土としてもリオティントが培ってきた結果、生まれたのが、Elysisとも言えるであろう。

 

 このElysisは、世界初のアルミ精錬プロセスであり、リオティントとアルコアという世界的な業界のリーダー企業の画期的なパートナーシップにより誕生した。

(Vol.3に続く)

 

出典:

 ・https://www.hydro.com/en/sustainability/environment/

 ・www.elysis.com

 

 

A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。